自宅でパソコンを使わない若者が増えている。ケータイさえあれば、パソコンでできることが何でも手軽にできてしまうからだ。WordやExcelを搭載したケータイも登場、バカ売れ状態で、ノートパソコン市場を食っている。家庭の中からパソコンが無くなる日も近い!?
ケータイがパソコンに取って代わる??
都内に住む20代男性サラリーマンのAさんは、自宅で殆どパソコンに触らなくなった。
「メールはもちろん、グーグル検索からホームページの閲覧、ゲームも何でもケータイでできますから。いちいちパソコンを立ち上げる必要なんて無いんです」
同30代サラリーマンのBさんは、2002年頃に「iモード」に代えてからパソコンをだんだん使わなくなったという。
「でっかいファイルを見るときはパソコンが必要ですが、そんなファイルを見る機会はめったにありません。家で仕事をしない人なら、パソコンなんて必要ないと思いますよ」
「パソコンよりもケータイの方がずっと使いやすい」
総務省の「通信利用動向調査」の結果によると、05年末時点でのインターネット利用者数で、携帯電話がパソコンを初めて上回った。パソコンユーザーが6,601万人で、携帯電話・PHSユーザーが6,923万人。このうち両方を使うユーザーは4,862万人で、パソコンのみ使うユーザーは前年から521万人減少。「1日1回は利用する」というユーザーが、携帯電話では55.3%、パソコンでは43.9%となった。世代別では、10代(13歳以上)および20代のユーザーの6割以上が携帯電話からネットを利用しているのだ。
ケータイは、こんな分野にも使われている。
06年2月発売の小説「りはめより100倍恐ろしい」(角川書店刊)は、木堂椎さんがケータイで書いた小説だ。高校2年の17歳女子高生だった05年、「第1回野性時代青春文学大賞」に応募し、大賞を受賞した。親指二本打ちで、約250枚の長編を3か月で書き上げた。木堂さんは06年2月28日
の読売新聞のインタビューに、
「かな漢字変換を含め、パソコンよりもケータイの方がずっと使いやすい。あと、パソコンだと家でしか書けないから」
と答えている。
「ぴあ」は高宮学園代々木ゼミナールと提携し、携帯電話を使った「予備校」を06年9月4日に開設した。サイト「予備校に行こう!」がそれで、大学受験問題をクイズやゲーム感覚で提供している。求職活動についても、パソコンよりケータイが情報収集ツールとして上回った。インフォプラントの06年8月15日の発表によれば、情報を得るのに使ったのはケータイが32%、パソコンは26%。19歳以下の男性の58%がケータイだった。
ウィルコムはノートパソコン市場を狙う
そうした中で、『ズバリ!奪う市場はノートパソコン市場』というケータイも登場した。これがバカ売れで、発売当初は生産が間に合わなかった。それがウィルコムの「W-ZERO3」。WordやExcelなどのソフトが入っていて、スライド式のキーボードが装備されている。価格は3万9,800円だが、品薄が続いてオークションで10万円の値段が付いたと話題になった。これまで15万台売れ、06年7月には新バージョンも登場した。この人気をウィルコム広報は、
「ケータイなのにExcelのようなソフトが入っている今までに無かった商品という点と、買ってすぐに使える手軽さが受けたのではないか」
とJ-CASTニュースの取材に答えた。家庭からパソコンが消えていくかもしれない流れを作っているのは、そうした若い層だ。