空港など「ハコモノ建設」が厳しい批判にさらされている
実際に借金がこれほどにも膨れ上がったのは何故なのか。神戸市は大きな理由として、震災の復興基金の出捐金・貸付金の市債償還に伴う公債費が莫大に膨らんだことを挙げている。しかし、市の財政危機の真相は違うところにある、という見方も有力だ。
それは神戸空港の建設をはじめとしたハコモノ建設だ。06年2月に開港した神戸空港は、3,140億円の総事業費を要するもので、市はこれの大半を起債によって補っていると言われる。しかも、神戸市の右肩上がりの需要予測に反して、開港当初の好調から一転、搭乗率が右肩下がりになっている。市の甘い需要見込みが、今では厳しい批判にさらされている。
また、2002年から市が始めている「医療産業都市」への巨額の投資も大きな懸念材料だ。大学、公的研究機関等を核とした「日本版シリコンバレー」を建設しようというものだ。
こうしたハコモノ建設には、市民社会フォーラム、神戸再生フォーラムといった市民団体、新社会党・共産党といった政党からも批判の声が上がっている。神戸新聞が報じたところによると、2005年の市議会では新市庁舎の建設が新たな議題になり、「財政問題の解消が先決ではないか」と議員が迫る一幕もあったという。
いずれにせよ、「倒産か」と騒がれるにはそれなりの根拠があり、今や神戸は「借金地獄」状態といってもおかしくない。神戸市行財政局財政部財務課に「倒産しないのか」と聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。
「震災があったため、公債費の使用が膨らんでいたのは事実です。ただし、直ちに倒産するとは思っていないし、倒産するような赤字に至るような状況ではない。市も市債残高の削減や職員の人件費削減などで、倒産しないように努力しています。『週刊ダイヤモンド』の計算には問題があるし、そのような指摘も実際にしました」