「重要でない10人」の4位に久夛良木社長
J-CASTニュースではSCE広報にこんな質問をぶつけてみた。
「PS3はゲーム機ですよね?」
すると、
「いいえ。ゲーム"も"できる次世代コンピュータエンタテインメントシステムです。PS2のときもそう表現しています」
と答えた。実は00年3月のPS2発売前、久夛良木社長は当初PS2を「最先端ゲームマシン」という表現から「マルチエンタテインメントマシン」に変えた。するとPSを支えてきたゲームメーカーから大ブーイングが起き、あわてて広報は「PS2はゲーム機です」と訂正した経緯がある。つまり、今回初めて久夛良木社長の「悲願」である、全社をあげての「脱ゲームマシン」になったといえる。
一方で、PS2のゲームソフト開発費が膨大になり、ソフトも売れなかったことで、ゲーム業界では「ソフトメーカーで儲かっている会社は殆ど無い」と言われるようになった。倒産が相次ぎ、バンダイとナムコ、エニックスとスクウェアのような合併が続いた。経営体力が無くなったゲームソフト会社は、売れる見込みがある人気作の続編ばかり作らざるを得なくなり、ゲーム内容の新鮮さが失われて行った。これがPS3に重くのしかかる。
アメリカの経済誌「BUSINESS 2.0」は2006年7月号で、世界のビジネス界「重要でない10人」の4位に久夛良木社長を選んだ。ピークを過ぎ影響力が弱まったか、またはその重要性が誇張されていると判断される人の4位だという。理由は(1)今春予定していたPS3の発売を何ヵ月も遅らせ、マイクロソフトと任天堂のコンソールより数百ドルも高価になった(2)発売の遅れと費用超過で、成功の見込みのないものを作りそうだ―。そして「ベータマックスの失敗を覚えています?」と皮肉っている。