五輪の国内候補都市をめぐる東京都と福岡市の招致合戦で、2006年8月31日付け朝日新聞は石原慎太郎・東京都知事が福岡市の応援演説をした姜尚中・東京大学教授を「怪しげな外国人」と評して「かみついた」ことを報じた。当然、ネットの「2ちゃんねる」ではこれを取り上げて騒ぎになっているが、今回の反応は通常とはちょっと違うようだ。
問題になっているのは、国内候補都市に東京都が選出された祝賀パーティでの石原都知事の挨拶。朝日新聞によれば、「怪しげな外国人が出てきてね。生意気だ、あいつは」などと述べたという。これは姜教授が福岡市の応援演説のなかで「金持ちのための五輪で勝てるかどうか」と、東京都を批判したことについての反応だと受け取れる。
普通なら「袋叩き」にあうのは姜教授
2ちゃんねるでは姜教授を擁護するコメントも多く見つかる
姜教授は、熊本県生まれの在日韓国朝鮮人2世。「在日」「朝鮮」などに関わるものは、2ちゃんねるでは総じて「袋叩き」にあう対象だ。実際にこの件でも、
「在チョンの東京批判クソワロタww」「福岡と、どういう関係があるのか分からん外国人が熱烈応援なんて普通に考えて怪しい」「在日を応援者に選んだ時点で福岡負け決定」「生姜はどうみても対日工作員だろ?」
など、2ちゃんねるでは「日常的な」発言が並ぶ。こうした「中傷」とも捉えられかねないカキコミの一方で、
「公のプレゼンで他者批判するかフツー」「姜尚中が出身地を応援するのはわかるしかし東京批判の内容が稚拙すぎ 」
と、姜教授が東京を「金持ち」として批判したことを冷静に捉えて不快感を示すカキコミもある。
姜批判と石原批判が同程度に飛び交う
しかし、一方で石原都知事の「怪しげな外国人」発言を冷ややかに受け取る人も少なくない。
「石原慎太郎はオリンピック精神とは程遠いなあ。偏狭なナショナリストだ」「怪しげな元小説家が出てきてね。生意気だ、あいつは」「しかし石原も大人気ないな、無視しときゃいいのに」
こんなふうに姜批判と石原批判が同程度に飛び交っている状態だ。2ちゃんねるでは珍しい事態、ともいえる。 なかには、
「石原は本当は東大教授ってところにカチンときてたんだろ」
「姜尚中がいつの間に福岡の応援してたんだ?石原の敵なら誰でも仲間なのかよ」
など、2人の学歴や思想的なスタンスからくる「因縁」とみるひとも少なからずいる。
いずれにしても、2ちゃんねるで姜批判と石原批判が同程度に飛び交う状況は、両氏をともに冷ややかに捉えているせい、と見てもおかしくないようだ。