TBS株、損切りしても資金を早く回収しろ、の声
また、これまで収益の下支えとなってきた楽天証券も手数料引き下げ競争などの煽りで前四半期比では明らかに収益の伸びにブレーキが掛かっている。さらに、みずほコーポレート銀行のあっせんで05年6月に買収した国内信販を衣替えした「楽天KC」については、自動車ローン事業などクレジット部門を分離し、オリエントコーポレーションに売却すると発表したが、この際、売却益が出るどころか、「オリコに引き取ってもらう前提となるKCの不良債権処理で売り手の楽天は新たな損失穴埋め負担を強いられる懸念がある」(業界筋)とも指摘されている。
三木谷社長の肝いりで1,000億円以上の資金を投じて進めたTBS株の大量取得(発行済み株式の19%超)も当初の目論見の経営統合どころか、業務提携さえ困難な状況で経営の重石になっている。金利の上昇傾向もあり、市場からは「損切りをしても資金を早く回収し、本業の強化などに有効活用すべきだ」との批判も強いが、「TBS株で100億円単位の売却損を出したうえ、何の実も取らなければ、三木谷社長の経営責任問題が浮上する」(関係筋)ため、動くに動けない状態が続いている。三木谷社長は「ソフトバンクがSBIと資本関係を解消し、インターネット財閥企業は楽天だけだ」と豪語するが、市場の成長期待を取り戻すには、TBS問題も含めて本業強化に回帰する厳しい決断が迫られているといえそうだ。