2006年8月28日、「市民記者」として登録すれば誰でも記事が書ける韓国発のニュースサイト「オーマイニュース」が正式にスタートした。「市民みんなが記者だ」という言葉をコンセプトとして掲げており、同日昼までに1,145人が市民記者として登録した。だが、編集委員から編集方針に疑問を投げかける声も出ているのに加えて、ネットやブログの捉え方に、外部から反発も出ている。
編集方針に疑問を投げかけたのは、同ニュースの編集委員を務めるジャーナリストの佐々木俊尚さん。同ニュースが設置したブログに、06年8月23日から同24日にかけて、2回に分けて投稿された。佐々木さんの記事のポイントは、以下の3つだ。
「客観報道を装いながら、実は『左より』の記事に」
鳥越俊太郎編集長(左)と呉連鎬(オ・ヨンホ)代表取締役兼CEO(右)。ブロガーとは協調路線?
1. オーマイニュースは、そもそもどういう立ち位置なのか。客観報道を装いながら、実は『左より』の記事になっているのではないか。
2. オーマイニュースは何を書こうとしているのか。読者を感動させるためには、書き手と読み手の共通の基盤を探る必要があるのではないか。
3. オーマイニュースはブロゴスフィア(ブログやブロガーによって構成されるコミュニティー)と、どういう関係を持とうとしているのか。
特に、上記1. と3. が、議論を呼んでいる。1. については、27日に編集次長の平野日出木さんの名前で「佐々木編集員の問いかけに対して」という記事が掲載され、その中でこんな説明をしている。
「客観性は、ひとりひとりの客観的たろうという意志では担保できません。数多くの、ロングテールに生息する多様な個人が、主観を交換し合ってこそ実現するのです。ですからスタッフとして私は、オーマイニュースを可能な限り多様な見方が交差するプラットフォームにしたいと願っています」
呉連鎬(オ・ヨンホ)代表取締役兼CEOも、記者会見で「編集部は中立を守る」と、同様の発言をしている。そうは言っても、「市民記者が書いた記事の編集責任はオーマイニュースにある」(鳥越俊太郎編集長)ため、編集部には、記事のバランスを取るための努力が求められることは間違いないようだ。