「選定当事者訴訟」が日本でも始まるか
インターネットにおける個人情報保護に詳しい英知法律事務所の岡村久道弁護士は、企業が「お詫び状」だけで済まそうとする理由をこう推測する。
「個人情報の流出はこれからも避けられない。しかも大量に流出する。また、BBテクノロジーは500円を支払い、収束しようとしたが、結局は訴訟を起こされてしまった。つまり、賠償金を先に払ったとしても、防波堤にならないことがわかったからでしょう」
被害者が訴訟を起こしても「Yahoo! BB」で提示された賠償額は6,000円だ。弁護士費用や訴訟に費やすエネルギーを考えたら全く割に合わない。やはり「泣き寝入り」なのか。
知的財産権やコンプライアンスに詳しい中島経営法律事務所の中島茂弁護士は、「選定当事者訴訟」(クラス アクション)が日本でも行われるようになるのではないかという。
「アメリカでは民事訴訟で、巨額の賠償金を獲得した例もあります」
被害者が一人が訴訟を起こしただけで、共通の利害関係者が参加でき賠償金を得られるという訴訟形態で、裁判費用などを分割できるなど、個人個人の負担は軽くなる。
「ただし、個人情報と一括りに言ってもその重要度には差があります。流出によってどれだけどんなふうに迷惑を受けるのかを考えた上で、訴訟を検討するのがいいでしょう」
と中島弁護士は話している。