ソフトバンク以外、金品を出す例はない
最初に社会問題化したのが04年2月に発覚した「Yahoo! BB」からの約450万人分の個人情報漏洩だ。ソフトバンク子会社元社員らが情報を持ち出し逮捕された。この時はお詫びとともに、500円分の商品券が配られた。しかし、これを不服とした会社員6人が「個人情報が漏れて精神的苦痛を受けた」とし、運営会社BBテクノロジーとヤフーを相手取り1人当たり10万円の慰謝料請求の訴訟を起こした。06年5月、大阪地裁はBBテクノロジーに1人当たり6,000円の損害賠償の支払いを命じた。
ソフトバンク広報は、
「まだ裁判は継続中で、6000円は支払っていません。結審した場合、支払うのは裁判を起こした6人になります」
とJ-CASTニュースの取材に答えた。
ただ、それ以後、情報漏洩をした企業で金品を出してお詫びする例はほとんどない。J-CASTニュースでは漏洩を起こした各社の考えを聞いてみた。
●NTT西日本(06年5月に個人情報8,990件などの流出が発覚)
「顧客情報の価値をお金で決めるのは難しい。お詫び文の送付や訪問して説明に回っています」
●毎日新聞(06年4月に読者組織「毎日フレンド」の会員65,690人分の名簿などの流出が発覚)
「(商品券などを配らなかったのは)元会員の皆様のご意見を参考にしながら、最近の社会的状況などを総合的に勘案しました」
●東芝(06年4月に約8,800名分の情報がネットワークに流出が発覚)
「(商品券などを配らなかったのは)流出したのが従業員と取引先だったため」
●KDDI(06年6月に「DION」のユーザー情報約400万人分の流出が発覚)
「ソフトバンクさんとは経営判断が異なりますし、まだ犯人も捕まっていません」
こうした対応を見ていると、結局は企業側の論理で動いていて、顧客への配慮は希薄のようだ。