ノートPCに搭載されたソニー製バッテリーのリコール問題をきっかけに、「ソニータイマー」というあやしい造語がネットを賑わせている。ソニー製品は、使い始めてから一定の期間が過ぎると、タイマーがセットされているように故障するという噂だ。真相はともかく、掲示板などでは、「新型のソニータイマーは派手だな」などという皮肉まじりの声もあがっている。
2006年8月15日、米PC最大手のデルは、ノート型PCに内蔵されたソニー製バッテリーに発火のおそれがあるとして、リコール(回収・無償交換)に乗り出した。朝日新聞が同日、ソニーが明らかにした話として報じたところによると、
「微少な金属片が製造過程で電池内に混入し、パソコン側の充電システムにつなげると、ごくまれに電池内でショートした状況になり、加熱・発火する場合がある」
という。
「ソニー製はすぐやられる!」という声
「ソニータイマー」という造語がなぜ囁かれるのか
リコール対象は約410万台で、情報家電では史上最大規模と見られており、「またソニータイマーか」という声が上がっている。
確かに、掲示板などでは「ソニータイマー」が搭載されていると非難する声が多い。例えばソニーを専門に扱う掲示板では、「ソニータイマー」をテーマにしたスレッドが沢山立てられている。内容はというと、こんな具合だ。
「Net MDウォークマン MZ-N910 2003年製 かなり重傷っていうか死亡。買ってから、一年でやられた!! 同じ、中国製のMDラジカセでさえ、ばりばり動くのに、ソニー製はすぐやられる!」
「私はAIBOが死にました。 AIBOを購入しているくらいですから、別にアンチソニーというわけではなかったのですが、まさかAIBOにまでタイマーが仕掛けられていたとは・・・。 ん?一応AIBOは『犬』だから、ソニータイマーというよりソニーウイルスか?」
「DVDプレーヤーが1年と4日で壊れた。 XX電機の保証書には購入月までしか書いてなかったので、 ただで直してもらった。 ソニータイマーのクオリティの高さと、XX電機のツメの甘さを痛感した。」
他の会社の製品と比較して、故障の率を厳密に計算したわけではないので、「ソニータイマー」自体が正しいかどうかは、はっきりしない。だが、こんな「伝説」がささやかれているということ自体に、ソニー製品に対する消費者の漠然とした不安が表れている、といってもおかしくない。
ソニー側は「不具合が起こるように設計したことはない」
実は「本物のソニータイマーか」とうわさされたケースもある。
ソニーは06年2月、薄型テレビ「ブラビア」のプロジェクションテレビ「Eシリーズ」2機種(05年10月発売)で、視聴時間の累積が一定時間(約1,200時間)を過ぎると「テレビ視聴中に電源オフできない」などの不具合がある、と発表した。1日3時間使用するとすれば、保証期間である1年が過ぎたころに1,200時間に達して不具合が起こるため、「まさしくソニータイマーだ」として評判になった。
ソニーテレビ受付センターはJ-CASTニュースの取材に対して、
「今回の不具合は、試験を行っている途中に発覚したに過ぎず、『不具合が起こるように設計した』ということでは決してありません」
と話す。ソニータイマーの存在については、
「一部の方々が『私的に』そのような言葉をお使いなのは存じておりますが、そのように設計しているということはございません」
と述べている。
ちなみに、テレビの不具合に対しては、すでに地上デジタル・BSデジタル放送の電波を使って原因のソフトウェアを更新する措置が取られている。