スズキからダイハツ 軽の首位交代

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無益な、プライドを賭けた戦いはしない

   一方、ダイハツは98年10月の軽規格改定以後、主力の「ムーヴ」「ミラ」をほぼ4年ごとにフルモデルチェンジし、軽首位奪取へ経営資源を投入してきた。4年ごとのフルモデルチェンジはかつて日本車の代名詞だったが今はまれ。スズキの「ワゴンR」は5年、「アルト」は6年周期になっている。
   業販、いわゆる街のモーター屋さん経由の販売が9割を占め、泥臭い地域密着のスズキに対し、ダイハツは業販と直販がほぼ半々。「カフェプロジェクト」などこぎれいな店舗戦略も仕掛け、女性客や120万円を超える高額商品に強みを持つ。J-CASTニュースに対し、「販売だけで勝っても意味はない。総合力で勝たなければ」と箕浦輝幸社長は話す。
   両社が真っ向から首位を争うなら年末、年度末に数字をつくるための自社登録が乱れ飛ぶことが予想された。ところがスズキは自ら退くかのような減産を決めた。無益なプライドを賭けた戦いをするよりは売れまくる海外へ供給し、実を取ろうという冷静な判断がそこには見てとれる。
   スズキの鈴木修会長は「(軽自動車)トップを選ぶか(全体の)売上を選ぶか、経営者だから売上を選ぶ。私の場合はあまり名誉は選ばない」と語る。
   空前の200万台をうかがう軽販売も、中古車オークションに大量の自社登録車が出回るなど、陰の部分を背負っている。スズキが軽減産を判断したことはダイハツとの激突を回避し、業界全体の自社登録を減少させる方向に働きそうだ。
   これが減産のもうひとつの理由と見られている。

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