小型トラックに異変 「三菱ふそう」が復活

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   積載量2~3tクラスの小型トラック市場に異変が生じている。リコール問題から販売低迷が続いていた三菱ふそうが復活し、販売を大きく伸ばしたからだ。決算期変更という特殊要因はあるものの、メーカーや販売店は今後の市場見通しを巡って混乱している。

   もともと今年度上期の小型トラック市場は、排出ガス規制対応のため、需要増が見込まれていたが、4~6月の販売台数は前年を30%以上超えた。その原因は当初、軽油価格高騰による影響とみられていたが、実は三菱ふそうトラック・バスの決算期変更にもあることがわかった。6月の中間決算期の販売攻勢が市場を大きく動かしたのだ。

三菱ふそうがインセンティブを多めに出した

三菱ふそうは、「キャンター」2t車のエンジンを一新
三菱ふそうは、「キャンター」2t車のエンジンを一新

    05年度の小型トラック(2~3t)の新車販売台数は前年同期比2.6%増の11万7,094台。06年度市場は、業界トップシェアのいすゞ自動車が12万台、3位の日野自動車が11万5,000台と予測している。ところが4~6月の市場が、両社の予測を超える勢いとなり、市場予測の見直しが行われている。
    三菱ふそうは今年から会計期を1~12月に変更した。昨年までは4月~3月の年度だったが、親会社のダイムラー・クライスラーと会計期を合わせた。日本の企業の会計期は4月から翌年の3月までがほとんど。新車販売市場は企業の決算期に連動した山があり、中間期の9月と期末の3月に販売台数が多くなっている。しかし今年は4月に入っても販売の勢いが衰えない状況が続いた。
    いすゞは、当初、排出ガス規制対応に向けた需要増に加え、軽油価格の高騰で燃費の良い新型車に乗り換えるユーザーが多いためと見ていた。だが後に、6月の中間決算を前にした三菱ふそうが、インセンティブを多めに出したことがわかった。

6月の小型トラック市場は33.7%増という好実績

   05年、リコール問題への対応に目途を付けた三菱ふそう。06年1~12月の新車販売にかける意気込みは強い。8月にキャンター2t車のエンジンを一新し、小型トラックの新長期排出ガス規制対応車の一番乗りを果たしたが、その旧型エンジン車の売り切りと6月の中間決算が重なり、販売を大きく伸ばした。
    05年度(4~3月)の小型トラック市場の販売シェアは、トップのいすゞが39.7%、2位の三菱ふそうが25.1%、3位の日野が15.2%、4位のトヨタが13.1%という実績。ところが06年6月単月では、いすゞ35.4%、三菱ふそう31.3%、日野12.7%%、トヨタ13.7%という結果だ。しかも6月の小型トラック市場は前年比33.7%増という好実績となった。
    いすゞは08年度、トヨタ・日野連合は近い将来に、販売シェアを40%まで引き上げることが目標だ。両陣営とも着実に成果を上げてきたが、リコール問題から販売低迷が続いていた三菱ふそうが復活しはじめ、計画に誤算が生じた。決算期の変更で、販売攻勢のタイミングが異なる業界2位の三菱ふそうの動向に、他社が振り回されている。

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