07年3月期でゲーム部門の赤字約1,000億円
ただ、今回の決算でソニーが完全復活を果たしたと言うのはあまりに時期尚早だ。利益の回復は円安・ユーロ高に助けられた部分が大きい。市場での競争が激しい薄型テレビなどデジタル家電は「今後も価格が年20~30%の下落が続く」(大根田CFO)見通しで、本業で安定的に利益が稼げる体質に戻ったとまでは言えないからだ。
そんな中、ソニーの命運を大きな左右するといわれるのが、11月に発売する次世代の家庭用ゲーム機PS3の売れ行き。ソニーはPS3を単なるゲーム機ではなく、次世代DVD「ブルーレイ・ディスク」の再生機として、薄型テレビやビデオカメラなどと連携するデジタル家電の中核的存在と位置付け、エレクトロニクス部門復活の中核的役割を期待している。巨額の開発費を投じたため、07年3月期の通期決算でゲーム部門の赤字約1,000億円を見込んでいるだけに、PS3の成功はストリンガー体制の命運を握っているともいえる。
次世代ゲーム機では、最大のライバル、任天堂の「Wii(ウィー)」も年内に発売される予定だ。年末商戦でPS3が期待通りに売れるか。4-6月期決算でひとまず”復活”を果たしたソニーの、当面の最大のハードルになる。