トヨタは、2006年9月にレクサスの最新モデル「LS」を発売する。公式には販売日程、価格などは未定で、予約も始まっていない。ただ、実際には「LS」の予約を販売店では受け付けていて、納車は年明けになるほど、予約がいっぱいなのだ。
LEXUS LSシリーズは、1989年から発売されたトヨタ自動車の大型の高級セダン「セルシオ」が前身。米国ではすでにLSとしてレクサスブランドのフラッグシップカーとして販売されている。日本では、レクサスの上陸に合わせてセルシオをトヨタ・ブランドで販売することをやめ、レクサスでLSシリーズとして売り出すことになった。
今予約しても、納車は年末か年明け
レクサスが発売する「LS460」。今予約しても、いつ納車になるのか?
06年9月に発売される「LS 460」は、3タイプあって実際の価格は770万~965万円になる。レクサスでもトップクラスの加速性能・低燃費・低排出ガスを実現するV8 4.6リットルエンジンを搭載しているほか、遠隔操作でエンジンを始動できなくする「リモートイモビライザー」も搭載している。
レクサスブランド全体では、日本国内での05年8月から05年末までの販売台数はわずかに1万300台。当初の販売目標の2万台を半分近く割り込むほどの不振だった。06年上半期(1~6月)も販売台数は1万600台と伸び悩んでいる。
このような不振にもかかわらずトヨタは06年の国内販売計画を約3万台とする方針を打ち出している。06年下半期(7~12月)で上半期の2倍近くの販売台数を見込んでいることになるが、その理由もこのLSシリーズがレクサスブランドの「切り札」で、販売台数の急伸に自信があるからだ。
実際に、トヨタの期待どおり「LS発売」の情報は一般消費者にも浸透し、レクサスの販売店では予約が殺到している。「LS 460」の実際の発売は06年9月19日。多くの店舗では予約受付が7月から開始され、いまでは予約がいっぱいで、納車できる時期も明確ではない。仮に06年8月現在に予約をしたとしても、納車できるのは06年末~年明け頃になる見通しだ。
「予想をはるかに上回る予約を頂きまして…」
ある販売店の店員は「予想をはるかに上回る予約を頂きまして…」と納車の時期が定かでない上に、大幅に遅れる理由を恐縮して語った。発売前の販売店には、カタログはあるが現物の「LS 460」のディスプレイもない。試乗もできない。予約をしてしまえば、変更も効かない。それなのに、なぜこれほどLSが人気なのか。レクサス目黒店の店員は次のように語る。
「もちろんカタログで判断するということになるが、やっぱり多くは以前セルシオに乗っていた方が、セルシオが良かったからLSでも良いだろうということで購入される」
他店舗にも問い合わせたが、やはりセルシオの所有者が予約するケースが多いという。
LSの前身にあたるセルシオは、現在でも人気は根強く、中古車を扱うオークネットの成約ランキングでも06年3月から3ヶ月連続で1位に輝いている。レクサスLSシリーズの予約殺到は、「当たり前」でもあるが、レクサスブランドの不振に頭を悩ますトヨタは、ほっとしているに違いない。
2007年春にはLSシリーズからハイブリッドモデル「LS600h/600hL」が発売される予定だ。