韓国で人気のインターネット新聞「オーマイニュース」の日本版が2006年8月28日、創刊される。オーマイニュース編集部は「開店準備中Blog」をオープンし、創刊準備を進める様子を伝えている。だが、このブログのコメント欄の様子が穏やかではない。韓国で始まったメディアであることから、「売国奴」などの攻撃的な書き込みが相次ぎ、なかば「炎上状態」なのだ。
オーマイニュースは00年2月に韓国で登場、「市民記者」として登録すれば、誰でも記事を書けるのが特徴だ。4万人以上の「市民記者」が記事を執筆し、1日250本以上の記事が掲載される。
06年3月にはオーマイニュースが7割、ソフトバンクが3割出資して日本法人「オーマイニュース・インターナショナル」が設立された。5月にはジャーナリストの鳥越俊太郎氏が編集長に就任、6月からは「開店準備中Blog」を開設した。
「偏向報道は止めてください」といった書き込みが殺到
「開店準備中」ブログ。「創刊まであと26日!」との文字が躍る
その内容は、サッカーW杯の現地レポート、世界中の市民記者が集まって開かれた「世界市民記者フォーラム」の体験記、企画案の募集、スタッフの意気込みなど多岐にわたる。
コメント欄にも多数の書き込みがあり、活発な議論がかわされている。だが、その中には、
「偏向報道は止めてください。朝鮮資本ってことで警戒してます」
「OhMyNewsは所詮は韓国版の焼き直し。日本叩き、日本の政府叩き、北朝鮮擁護をしたい人たちの集まりなのは明らか」
と、穏やかでない書き込みも少なくない。
毎日新聞は8月1日「にっぽんに思う」という連載の中でオーマイニュースを紹介し、その中で、鳥越編集長が「嫌韓」の書き込みについて、こう分析している。
「戦争を知らない若い世代が、経済発展した韓国に違和感を覚え、過去にあった差別意識を再生産した。ネットという匿名の場に、ネガティブな感情が噴出している」
このブログ、8月1日から「市民記者」と、氏名とメールアドレスなどを事前登録した「準市民記者」以外は、コメントを書き込めない仕組みに変更した。だが、これは「嫌韓」書き込みとは関係ない、というのだ。オーマイニュースの広報担当はJ-CASTニュースの取材に対してこう語る。
登録制移行は当初予定通り、と説明
「現在は『開店準備中』の(誰でも書き込める)ブログを、正式オープンが迫ってきたこともあり、登録制に移行することになりました。当初から計画されていたことです」
さらに、「開店準備中ブログ」に掲載されたお知らせでも、制度変更の理由が
「オーマイニュースが匿名による誹謗・中傷・暴言・侮辱などを『責任ある参加』とは考えていないためです」
と説明されている。
すでに書き込まれたコメントについても、個人情報が掲載されたり、スパム(アダルトサイトの宣伝など)以外は、削除せずにすべて残してあるのだという。「炎上」が登録制移行の理由なのではないか、という問いには、
「そうならば、もっと早くに移行しています。(「炎上」が起こることについては) ブログという性質上やむを得ません」
と話している。
今後は「市民記者専用」になるこのブログ、どのような議論が繰り広げられていくのだろうか。