低率減税廃止など「増税」に反対する主張をウェブ上で効果的に行おうという試みが相次いでいる。具体的な増税額をシミュレーションできるのがミソだ。これまでは街頭演説やビラ配りなどで政策を訴えてきたが、政党や労働組合もようやくネット時代に対応、というわけだ。
いくら増税になるのか、額をシミュレーションできる
連合が開設した「think-tax.jp」。増税後の負担額が簡単に試算できる
2006年7月21日には、日本共産党のウェブサイトに「あなたの増税額が分かる負担増シミュレーション」というコーナーが設けられた。正社員、アルバイト、高齢者などの属性別に、自分の年齢、年収などを打ち込むと増税額が算出される、という仕組みだ。J-CASTニュースの記者も、「35歳で年収600万、配偶者の年収は500万で子供は2人」という前提で、実際に試算してみた。そうすると、定率減税の全廃で78,000円増、サラリーマン増税(給与所得控除など)があった場合にはさらに434,000円、消費税率が10%に引き上げられた場合にはさらに161,000円増となり、計674,000円。かなりの負担増となることがわかる。
同党宣伝局はJ-CASTニュースの取材に対して「05年にも、かなり詳しいシミュレーションをして公表したが、利用者が自分で数字を打ち込むスタイルは初めて」と話している。開設以来人気を呼んでいるといい、同サイトには5日間で3,000のアクセス(ページビュー)があった。
反響大きく、サイト開設期間を3ヶ月延長
日本労働組合総連合会(連合)も、同様のサイトを06年4月に開設して、反響を呼んでいる。「think-tax.jp」と名付けられたこのサイトでも、やはり「負担増試算」ができるほか、サイトにコメントが書き込めるようになっている。
同サイトキャンペーン事務局は「これまでは『増税反対』を訴える際は、街頭演説やビラ配りなどの伝統的な手段しかなかった。いきなり主張を押しつけるのではなく、まずは現状を知ってもらえるようにしたかった」と話す。
本来ならば6月30日までの期間限定キャンペーンだったが、反響が大きく、サイトの開設期間を3ヶ月延長した。事務局によると、06年7月26日までに796,308件のアクセスがあり、約9,000件のコメントが書き込まれた。「反響が続けば、さらに延長も考える」(事務局)という。こちらでも「増税試算」をしてみた。その結果は191,400円。共産党とは試算の前提が違うようだ。
両者ともさまざまな工夫を凝らすが、果たして増税反対の世論を喚起することはできるのか。