金の卵を産むアヒルを殺すのは愚か
「世界には一定の資産を移動すれば、その国の居住を認める国があります。先進国ではカナダやオーストラリアなど。当然、移住する人は高額所得者です。(略) アメリカもそうなのですが、その国の税収を支えているのは中・高所得者です。意外と低所得者の税負担は少ないのが現実です。金持ちに対する妬みや嫉妬は、なかなか無くならないのが人情なのかもしれませんが、金の卵を産むアヒルを嫉妬で殺すような愚かな考えはそろそろ捨てるべきでしょう」
このほか、「日本は高額所得者からカネを搾り取ろうとしている」といった趣旨の発言が目立つ。
また、資産を海外に移動するように勧める本も多数出版されている。例えば「日本脱出!海外分散で資産を死守せよ」「小富豪のためのタックスヘイヴン入門」というような本だ。
海外生活を送る日本人として有名な大橋巨泉さんも、過去に同様の発言をしている。
「日本って嫉妬社会じゃないですか。表面的には資本主義なんだけど、実際は突出した金持ちをつくらない社会主義ですよ。ボクが現役で一番よく働いていた頃、税金で収入の85%を取られていたよ。年間1億円稼いでも、手元に残るのは1,500万円なんだ」(日経ビジネス00年7月10日号)
いまは税率は少々下がったが、巨泉さんのような人は増えている。それでも「居住実態」を理由に、海外在住者から税金を取ろうとする日本の国税当局。「グッバイ・ジャパン」は、なかなか簡単にはいかないようだ。