電子雑誌の発刊が本格化してきた。小学館は紙と同じ料金・体裁で、雑誌の内容をウェブで配信するほか、主婦の友社のファッション誌「ef(エフ)」は、内容をウェブにすべて移行して、紙媒体での発行を取りやめた。「雑誌は画面で読む」がフツーになる日も近そうだ。
主婦の友社が発行する創刊22年のファッション誌「ef」は、7月号を最後に紙媒体での発行をとりやめ、6月25日にオープンしたウェブサイト「デジタルef」での配信に切り替えた。現在は会員登録をすれば無料で閲覧できるが、06年秋をめどに有料化する予定だ。
紙媒体の内容がウェブに転載されるのは一般的だが、紙媒体をやめてウェブに完全移行、というのは異例だ。しかも、ファッション誌というビジュアル重視の媒体が電子化されるのは従来なかったことだ。
有料化後の販売価格は1冊300円程度
紙媒体からウェブ上での配信に切り替えた主婦の友社の「ef(エフ)」。「パソコンで読めるOLファッション誌」との触れ込みだ
同社デジタル編集室はJINビジネスニュースの取材に対して
「元々、デジタルメディアで新しい事業展開を考えていた。それを検討する段階で、efについては、部数が厳しくなってきたこともあって、オンラインへの切り替えを決めた。主な読者層であるOLはインターネットへの親和性が高いと判断した。efブランドを生かした事業展開をしたい」
と話している。サイト有料化後の販売価格は1冊300円程度を予定している。ページ数は、紙媒体の6割程度になるという。紙媒体の価格が650円であることを考えると、ページ当たりの価格は、紙でもウェブでも大差ないようだ。だが、実際のところは
「ウェブでの価格の『相場』を探っているところなんです」(同社デジタル編集室)
と、試行錯誤をしている段階なのだという。
小学館も、06年10月にも電子雑誌出版事業に参入する。主婦の友社とは違い、紙媒体と全く同じ内容のものを、紙媒体と同一料金で配信する。06年内には対象を3誌に広げる。同社ネットメディアセンターは、参入の狙いを
「これまでに本屋に行かなかった層にも雑誌を読んでもらえるようにしたい。あわせて、雑誌の一部だけを読むことができる『立ち読み機能』をきっかけに、定期購読の申し込みがあったり、紙の雑誌を買ってもらうことも期待している」
と話す。ウェブは紙媒体の販促ツールだ、というスタンスだ。efのように紙媒体を廃止してウェブに完全移行する計画はあるのか、という問いにも「まったくありません」という答えが返ってきた。さらには、