「くまぇり」と名乗っていた平田恵里香 (20) が放火容疑でつかまったのをきっかけに、ネットアイドルに関心が集まっている。JINビジネスニュースはこの分野に詳しい「ネットアイドルアカデミー」学院長の恩田ひさとしさんにインタビューし、ネットアイドルの真相に迫った。
「くまぇり」は「美少女系」と「セクシー系」の混合
ネットアイドルには明確な定義は無いが、「芸能アイドル」のようなイメージでホームページ上に自分の写真や日記を掲載し、固定ファンが付けばネットアイドルの誕生になる。ファンが増えれば自ら撮影会を開いたり、コンサートを企画したり、イベント関係者に売り込んだりする。自費出版で写真集を出したり、音楽CDを作り販売したりもする。また、個人が露出するのではなくアニメ風キャラクターでネットアイドルを作ったり、汚いビジュアルで“お笑い系”“ヨゴレ系”で売り出すものもある。「くまぇり」はその中の“美少女系”と“セクシー系”を合わせたようなネットアイドルだった。
恩田さんは「くまぇり」と、一般的なネットアイドルとは異なる点が多いと見ている。
「私が会ってきたネットアイドルは、芸能界進出など考えていませんでした。写真のモデル程度は経験があるのですが、『雑誌社に紹介しようか!?』と言うと『ウーン?』となってしまう。つまり、プロにはなりたくないんです」
ネットからは「電車男」などの小説や、「生協の白石さん」、マンガ「今日の猫村さん」、問題になったキャラクター「飲まネコ」など様々な才能が生まれている。が、ネットアイドルが芸能プロダクションにスカウトされタレントデビューしたという話は聞いたことが無い、と恩田さんは言う。
「アマチュアの、適当なところでチヤホヤされたいという思いが強いんです。プロになればプロダクションに管理され、芸能界という厳しい競争に晒されるのが嫌なのです。結局、チヤホヤされる、つまり『オイシイところだけ取ろう』と。で、アマチュアの狭い世界で生きて行こうということです」
ある程度の年になると、ネットアイドルは卒業
「くまぇり」は、ネットアイドルを一つの踏み台にして芸能界への進出を考えていた。
「彼女は前向きだったと思います。だから、ネットアイドルと呼ぶのは妥当かどうか」
そのため、ネットアイドル達は「一緒にしないで欲しい」と思っているだろうと恩田さんは言う。
ネットアイドルは、プライドが非常に高いという。ホームページのリンクを制限したり、「責任ある成人の方のみ次のページにお進み下さい」などの注意書きがあったりする。これも、「限られた人間だけ」というメッセージだ。「お前はそんなに超有名ブランド品なのか、と言いたくなるネットアイドルもいまして(笑い)」
アイドルになれそうなら、芸能プロダクションは放っておくわけはない。スカウトがどうして来ないか、彼女達は最初から分かっているのだ、という。
インターネットが無かったら、彼女達の活躍の場はなく、コミケ(コミックマーケット)などのイベント会場でコスプレをして遊ぶのがせいぜいだ。
「チヤホヤされて、ある程度年をとったら、ネットアイドルから卒業していく。それがネットアイドルなんだと思います」