海外調達をベトナムやインド、インドネシアなどに拡大
100円なのにこんな商品があるという驚きが、これまで業界の成長の原動力だった。しかし仕入れ原価の上昇でそれが困難な状況にある。一部のプラスチック製品では、売価100円を維持するために、逆に容量を減らすことを余儀なくされ始めた。商品力を高め、消費者を飽きさせないためには、100円という価格にこだわってはいられなくなっている。
業界ではこれまで中国に偏重していた仕入れ先の見直しを進める動きもある。業界5位で100円ショップ「ミーツ」を展開するワッツは、現在ほぼ中国のみで賄う海外調達を、今後ベトナムやインド、インドネシアなどに拡大する検討を始めた。原油高だけでなく、元切り上げなどに伴う円安や、中国の人件費増により、調達コストが上昇しているからだ。
ホームファッション専門店のニトリでは06年3~5月期、売上高から売り上げ原価を引いた粗利益の売上高比率が低下した。円安に加え、原油高に伴う海外の調達先からの強い値上げ要請が影響した。同社では販売数量の増加や、販売員の配置など効率化によって増益を維持しているが、原油高は小売り各社の業績にも影響を及ぼし始めている。
ここまでは企業の内部努力によって吸収し、多くの小売業では店頭価格の引き上げには至っていない。ただ今後この水準の原油高が続けば、企業内部での吸収にも限界がある。家計への影響がじわり広がりつつある。