世界的な原油高が、日本の消費の現場にも影響をもたらしている。マグロ、ティシュペーパー、ガソリン…。スーパーから100円ショップまで、販売側のさまざまな業態に広がり始めている。
都内のガソリンスタンド。原油高の影響が広がっている
原油価格の上昇はとどまるところを知らない。ニューヨークの原油価格は7月に1バレル75ドルを突破。かつて市場関係者の間で、「50ドルを超えるとオイルショックの再来」とも言われた中で、現在の水準は突出して高い。
東京地区のガソリン価格(レギュラー)は、1年前に比べおよそ1割上昇した。ガソリン価格の上昇は、今年に入って5カ月連続で前年を上回った消費者物価指数の引き上げに「貢献」している。
その原油高の影響が、スーパーや100円ショップなど小売りの現場にも現れ始めている。
コスト高は取引先と折半しながら企業努力で吸収
スーパー大手のイトーヨーカ堂。同社では「全般に価格値上げの圧力が強くなっている」と語る。原油高は商品の仕入れ原価だけでなく、業務用ラップなど梱包財や物流費、レジ袋など、さまざまなコスト高に跳ね返ってくる。
原油高の影響は幅広い。例えばマグロの刺し身。メバチマグロの相場は1年前に比べ4割増となっている。最大の供給国・台湾の減船とともに、漁船用燃料高を受け出漁が減少したため。しかし「消費者の価格志向は根強い」(同社)。簡単には店頭価格へ反映できないのがつらいところだ。同社では「取引先と折半しながら企業努力でコスト高を吸収していきたい」とする。
スーパー以上に原油高の影響を受けるのが、プラスチック製雑貨の多い100円ショップだ。同業界からは「仕入れ値が1~2割上昇している」との声があがる。
デフレ下に100円均一の割安感で成長を続けてきた同業界が、大きな転換点を迎えている。
業界2位のキャンドゥ。同社では4月から、300円、500円均一といった他の価格帯の実験を始めた。価格帯を上げることで新規商品を導入、消費者の需要を喚起することが狙いだが、背景の一つには原油高がある。