中田英寿の姿がTVなどマスメディアから消える。ヒデのマネジメント会社サニーサイドアップは、「CMなど新規契約はしませんし、現在のCMも契約期間が切れれば終了です」とJINビジネスニュースの取材に、タレント生活からの「完全引退」を表明した。暫くは静養に専念するという。業界では、ヒデの今後について「引き際の良さで逆にタレント価値が上がった」などとはやしているが、そうはならないようだ。
中田英寿の引退を伝える各紙。「ヒデ」はどこに行くのか
ヒデの引退が2006年7月3日に突然発表された。スポーツ紙の号外まで出て、サッカー界のカリスマが29歳の若さでピッチを離れる決断を、多くのファンが悲しんだ。
そうしたなか、引退によって活気付いたのがCM業界。スポーツ選手は引退するとCM価値が下がると言われるが「引き際の良さで逆にタレント価値が上がった」と評する業界関係者もいて、タレントに転進すればスポンサー契約が殺到しそうだ。
7億円を越えそうな収入を捨ててしまう
ヒデの推定年収は10億円。サッカーでの年俸は約2億7,000万円だから、7億円ほどがCMなどの収入になっている。現在出演中のCMはトヨタ、ナイキ、コカ・コーラ、キヤノン、スカパー!など世界の大企業。高額収入が継続できるタレントで当面生活していくのが "第二の人生" としてわかりやすいが、サニーサイドアップから信じられない答えが帰ってきた。
「CMなど仕事を受ける事はありません。それは中田本人の意思です。我々は中田の意思を最大限尊重し、新しい人生が決まるまでじっくりと考え、静養してもらいたい。中田の意思が固まった後は全力でサポートしていきます」
つまりタレントとしての新規契約は全て断り、スポンサー契約の更新もしないというのだ。それはあまりにもったいない。7億円を越えそうな収入を捨ててしまう事になる。
それがヒデの美学なのだと思うが…、それでは今後どうして生きていくのか。
実はこの引退、ヒデのホームページに「半年前から決めていた」と綴られた。引退理由はいくつかあるようだが、高校時代に「将来サッカーで食べていこうとは思っていません」と明かしたり、初めて日本代表に選ばれた頃に「税理士の免許を取りたいから(試合に)行きたくない」と発言していた事などは有名で、若くして引退したのも、ビジネス界に進出するのが目的と推測されてもおかしくない。
経営者の資質、あるとも思えない
スポーツニッポンでも06年7月4日、「将来はビジネス界で”司令塔”」の見出しが躍り、米ハーバード大学に留学しMBA(経営学修士号)を取ると報道している。経営といえば、03年7月には菓子メーカーの東ハトの執行役員に就任。CBO(チーフ・ブランディング・オフィサー)として、「キャラメルコーン」のパッケージを変更するなどし、同商品の売上を50%伸ばしたという実績もある。
しかし、ファンや評論家の中からは、「ヒデには経営は無理だ」という見方も出ている。
ヒデがプロサッカー選手として育ったベルマーレ平塚は、親会社の経営悪化で清算に追い込まれた。イタリアで所属していたパルマも親会社が破産。執行役員を勤めている東ハトも、経営不振が原因で山崎製パンへの身売りが先ごろ決まった。何か周辺に「不運」が付いて回るのだ。経営者の資質では、ジーコジャパンでは初めはキャプテンを任され張り切っていたものの、いつの間にかキャプテンは宮本恒靖に代わった。ファンの間から「ヒデはわがままで、チームをまとめられず、キャプテンにふさわしくない」「W杯でもヒデがチームを崩壊させた」という声も出ていた。