韓国車の品質は上がり、日本車と肩を並べるところまできている。とりわけ現代自動車については「トヨタとホンダを飛び越えた」という評価も出るほどだ。
米国の調査会社、JDパワー・アンド・アソシエイツがまとめた「2006年版新車の初期品質調査」によると、ブランド別の品質ランキングは1位がドイツの「ポルシェ」、2位が日本の「レクサス」、3位が韓国の「現代」の順になった。現代がベスト3に入ったのは今回が初めて。日米欧の主力高級ブランドを上回るという“快挙”に目を見張る自動車業界関係者も多い。
この調査は06年モデルの新車を購入した人を対象に実施したもので、不具合の発生件数などがベースになっている。つまり、上位のモデルはトラブルの発生件数が少なく、お客の満足度が高いというわけだ。
今回のJDパワーによる調査に限らず、韓国メーカー、とりわけ現代自動車に対する評価は急速に上昇している。
乗り心地や快適性といった“味”の部分で日本車に近づく
現代自動車の「ソナタ」。05年9月に日本でも発売された
現代自は80年代末、コンパクトカーの「ポニー」を北米市場で売りまくった。当時、価格の安さが好評で販売台数も伸びたが、品質問題がきっかけにしてその勢いは急速にしぼんだ。今、またその勢いが盛り返している。小型車市場では日本車との競争が激化している。
「確実に韓国車の品質は上がり、日本車に近づいている」。日本の大手メーカーの開発者はこう話す。ここでいう品質とは、プレス成形の完成度や塗装の出来具合、組み立ての確かさ、不具合の発生件数といった内容ではない。
乗り心地を含めた商品としての品質だ。見た目の品質はコピー商品でも、比較的簡単に確保できる。しかし、商品としての“味”の部分になる乗り心地や快適性、内装品で
の気配りといった開発の底流部分に由来する品質は、一朝一夕では確立できない。そこには深い経験と並大抵ではない努力が必要。その部分で日本車に近づいているのだと、この開発者は言う。
ただ、急速に韓国車の品質が日本車に近づいているといっても、
「心配はない。我々も努力しており、品質は日々、進歩している」(日本大手メーカー)
という楽観的な声もあり、日本の業界ではこうした見方が大勢だ。
ただ、米国ではそうは思っていないようだ。
「現代がトヨタとホンダを飛び越えた」という評価も出る
米経済専門のニュースサイト・マーケットウォッチは6月19日、現代車がトヨタ自動車とホンダを飛び越えた、と報じた。
マーケットウォッチは「現代車がトヨタ自動車のカムリやホンダ・アコードに追いつくにはまだ遠いという見方もあるが、そうはではない」とし「現代車はトヨタ・ホンダより上に位置付けてもいい」と伝えた。
そして、「いずれにせよ、現代車は自動車メーカーを緊張させる会社に違いない」と付け加えた。
今年初めに米国デトロイトで開催された「北米国際自動車ショー」(デトロイトショー)。ここで現代自はスペシャリティカーのコンセプトカー「HCD-9タラス」を出品し、高級車市場への参入意欲をのぞかせた。この車がターゲットとするジャンルは、まさしく日本のトヨタのレクサスであり、日産自動車のインフィニティであり、ホンダのアキュラであり、ベンツやBMWといった欧州の高級ブランドも視野に入れている。
ものの考え方が合理的で、「いいものであれば、どの国のブランドであるかにはこだわらない」という米国人にとって、日本のプレミアムブランドが受け入れられたのと同様に、韓国のプレミアムブランドが評価される土壌はある。