正社員になりたいんだ!
実は同社、当初はフリーターを企業に紹介する事業を計画していた。ところが、
「紹介では応募がなかった。フリーターには"正社員になりたいんだ!"という強い希望があった」 そこで正社員になるためのカレッジにしたところ応募が殺到したというのだ。
人材派遣最大手のパソナも、フリーターを企業に就職させる『仕事大学校』を05年11月に開設した。2ヶ月間の基礎研修と1年間の派遣実務研修でビジネススキルを身に付けさせる。研修後は同社グループの人材斡旋会社などを通じて正社員の道が開ける。現在53人の研修生がいて、最高齢は32歳だ。
「フリーターという"肩書き"から正社員になるには高い壁がある。有能な方でも壁は同じなんです。そんな方々の夢の実現をサポートするのが目的です」
と同社広報企画部では話す。
フリーターとひとことで言っても、複数の職業を経験し実績やキャリアで正社員を上回る人もいれば、大学卒業後に海外で生活したり、夢を追いかけて特殊技能を身につけたりなど様々だ。総務省の統計によれば、15歳から34歳までのフリーター(非正規雇用者)は05年には201万人。04年に比べると13万人減った。フリーターも正社員を目指す人が多くなり、今年6月に就職した23歳の男性元フリーターから、
「早くフリーターを卒業したかった。フリーターだと周りから変な目で見られるし、収入が安定しなくて不安だった」
という話が聞けた。フリーターも"現実"に気が付いている。
こうしたフリーターの正社員志向と、人材サービス企業の変化について、JINビジネスニュースでは社団法人日本人材派遣協会に取材したところ、
「現在もフリーターを正社員にする企業は少ない。面接でも"えっ?君、フリーターなの"となれば、キャリアはお構いなしに切られる場合が多いんです」
と話した。