竹中氏の「私的懇談会方式」も封印
しかも、政府与党合意は「合意の各項目に関する検討や実施の工程は、総務相が与党の了解を得て管理していく」とも明記。竹中総務相が再び、私的懇談会のような形式でNTT改革議論を再び進めることがないようにまでクギを刺す徹底ぶりで、竹中通信改革構想は竜頭蛇尾の結果に終わった。
小泉政権の任期切れが迫る中、竹中氏の政治的権力が低下していることが大きく影響しているが、一方で政府内では「小泉政権が掲げる『2010年度にブロードバンドゼロ地域を解消する』との目標達成をNTTグループに頼っている以上、現段階でNTTの嫌がる資本分離の問題を持ち出すのはそもそも無理があった」と冷めた見方もある。
そんな竹中氏だが、実はNTT改革を思い通りに進めるチャンスが一度だけあった。それは、今春のNTTの役員改選で2期4年の任期を今年迎える持ち株会社の和田紀夫社長を退任に追い込み、NTT改革に前向きなトップを後継に据えることだった。しかし、竹中氏が動けないまま和田続投が決まり、総務省では「その瞬間に竹中NTT改革論の死命が決した」と語られている。