※この記事は、記事「北陸の銀行 ネット市民に降参」の詳報です。
経済産業省が策定している「電子商取引に関する準則」では、インラインリンクについて、こんな記述がある。
「リンク先の商品等表示を、リンク元の営業とリンク先の営業とを誤認混同させるように使用した場合や、著名な商品等表示を自己の商品等表示として使用した場合には、不正競争行為に該当する可能性がある」
奥村弁護士はJINビジネスニュースの取材に対して
「北國銀行のリンクポリシーは、この『誤認混同』のことを言いたかったのではないか」
と推測し、
「仮にそうだとすれば、特段おかしな事を言っているわけではない。確かにウェブサイト上の説明は不十分だが、掲示板で言われているような『脅迫』のようなことをする意図はないでしょう」
という。
さらに「ひょっとしたら、以前リンク関係でいやな目にあったのかも知れません」と、北國銀行の姿勢に理解を示した。
北國銀行以外にも、銀行には
「ホームページへのリンクを希望される場合は、当行のお取引店を通じてお申し出ください。なお、リンクは原則としてお取引先のみに限定させていただいております」(武蔵野銀行)
「本ウェブサイトへのリンクを希望される場合は、当行のお取引店を通じてお申し出ください。なお、リンクは原則としてお取引先のみに限定させていただいております」(ちば興銀)
など、通常よりも厳格に見えるリンクポリシーが目立つ。奥村弁護士は、企業がリンクをされたがらない理由を
「どこの誰とも分からない人からリンクされて誹謗中傷の対象になったり、コンテンツが我田引水に利用されることに敏感になっているからではないか」
と指摘する。
なお、社団法人著作権情報センターでは、
「リンクを張ることは、単に別のホームページに行けること、そしてそのホームページの中にある情報にたどり着けることを指示するに止まり、その情報をみずから複製したり送信したりするわけではないので、著作権侵害とはならないというべきでしょう」
と、リンクを張ることは著作権の面では基本的には問題ない、という見解を示している。
そして、スレッドには、以下のような書き込みが続いた。
「銀行のサービスをWebで提供するときに、Webの根本的機能であるリンクの本質を否定するような勝手なルールを恥ずかしげもなく掲げているのが問題じゃないだろうか?フィッシングを防ぎたいという意図があるならそれも併記でもしておけば誤解も少ないだろうに説明もなくこんな表記をする銀行は「お馬鹿様」そのものだろう。」
「リンクをはる、というのは発明された技術ですよね。恐らく特許はとっていないと思うけど。それを使うと、法令違反になるとはどんな論理なんだ。」
各銀行は、これらの声に、どのように答えるのだろうか。