日本銀行の福井俊彦総裁が、村上ファンドへ1,000万円投資していた問題で、2006年6月21付けの新聞各紙が非常に厳しい論調の社説を掲載している。とりわけ、朝日新聞社説は、国民の厳しい視線を強調した上で、「総裁の椅子にとどまる適格性に疑いを持たれても仕方ない」と述べている。「辞めろ」といっているのに等しい表現だ。
06年6月21日の新聞各紙。日経以外は「福井批判」の大合唱
06年6月20日、福井総裁が村上ファンドに拠出した1,000万円の利益総額が、1,473万円に膨らんでいたことが明らかになった。これを受けて朝日新聞は社説を掲載した。
まず、発覚した後の対応について
「たいした金額ではない、と国会で発言し、昨年末の資産状況については国会閉会まで発表を引き延ばしたことが大きな不信を買った」と分析。
「規律を軽んじていたとしか思えない」
また、「辞任した方がよい」と考える人が49%、「辞任しなくてもよい」と考える人は13%しかない、という共同通信社の世論調査を基に、「国民の厳しい視線に想像力が及ばなかったのであれば、総裁の椅子にとどまる適格性に疑いを持たれても仕方ない」と言い切った。
さらに、福井総裁が職に留まる意向を見せているのに対し、「内規に反していなければ問題がないと言わんばかりの姿勢では、規律を軽んじていたとしか思えない」「(総裁にとどまることで)不信を増幅させるような事態が続くことはないか」と厳しく批判している。
他紙の社説も軒並み厳しい。読売新聞の場合は、
「日銀総裁が、国民に低金利を強いる一方、自らはファンド投資で大きな利益を上げていた」のを問題視している。ただ、福井総裁はファンドでの利益や元本を慈善団体に寄付することを明らかにしている。これも「問題が発覚してからの言葉では、何ともしらじらしく聞こえる」と切り捨てている。