経費削減という悪いサイクルに入る
そうした中で、販売店がちゃんとした利益を出すには、売上や粗利率を上げるか、人件費や経費を削減するか、どちらかということになる。インセンティブは無くなり、値引き販売も難しい。そこで人気の新型車が不在、となれば経費削減が選ばれる。新聞折り込みチラシは減らされ、営業成績の悪いセールスは更迭される。販売店が新規客を呼び込む手段を捨て、しかも人材には限りがあるため、営業部隊の増強は進まない。
悪いサイクルに陥った、としかいいようのない状況だ。
国内販売は06年秋にスカイラインとオッティをフルモデルチェンジするまで我慢の戦いが続くが、商品力のほかに大きい不安がある。
販売店はゴーン社長がルノーの社長を兼務して以来、日産の中で意志決定のスピードがダウンしたと感じている。志賀COOは就任時に「社長がルノーのCEOを兼務することになって、会社がネガティブな影響を受けないようにすることが役割です。従業員が不安を感じるとか、元気がなく変革へのチャレンジが後退してきた、とかですね」と話している。兼務による不安を払拭する指導力と行動力を日産の幹部が示さなければ、売れる好機を逃すかもしれない。