三井住友グループの傘下入りも、現状では無理
三井トラストとの経営統合は、04年8月から交渉を開始し、05年2月には合意寸前まで進んだといわれる。超えられなかったハードルは合併比率だったというが、規模拡大を目指す住友信託に、リテールに活路を見出す三井トラスト。そのあいだの、経営方針の微妙な差が原因ともいわれる。
とはいえ、メガバンクとの規模の格差は、そのまま金利上昇局面での利息収入の差となって、ジワジワと効いてくるはず。メガバンクが今年度中にも公的資金を完済しようという段階で、すでに完済している住友信託の優位性も薄らいでくる。
「いずれは…」と目される三井住友フィナンシャルグループの傘下入りも、肝心の三井住友銀行がデリバティブ取引をめぐる業務停止命令などで身動きがとれなくなった。
自行の収益力の低下を買収で補う戦略には、おのずと限界がある。それでも、住友信託の拡大路線は止まりそうにないし、同社が再編の“目玉”であることは、間違いない。