不正防止のための業界団体はできたが...
例えばライバルのサイトや広告を悪意でクリックしまくれば"ぶっ潰す"ことも可能なのだ。 あきらかに個人が1つのIPアドレスからクリックしまくっている場合は警告することは容易だが、急にクリックが増え、怪しいと感じただけで"犯人"扱いはしにくいというのだ。CPCとアフェリエイトの両方を扱う代理店担当者はあきらめ顔でこう話した。
「ほとんど野放し状態なんです」
水野氏は「悪意を持ってクリックする人は日本では少ないと思うが、信頼を得るためにも、業界を挙げて技術開発や法的整備を進めなければならない」と話している。
そうした中で、06年5月16日、バリューコマースやファンコミュニケーションズといったネット検索型広告会社大手7社による「日本アフィリエイト・サービス協会」が設立された。急速に拡大するネット広告業界の健全な成長を目指し、一般消費者、アフィリエイト契約者、広告主を保護するための不正行為の監視および情報の交換などを行うものだ。不正クリックなどの取締りと防止策が重要課題として取り上げられるのは間違いない。
同協会設立を主導したバリューコマースは、「まずは不正行為について各社共通のガイドラインを作ろうと動いている」と話す。しかし、各社それぞれ不正行為の基準が異なり、ガイドライン決定後には約款を変更しなければならない。不正者のブラックリスト交換については個人情報保護法の壁もある。業界を挙げての不正防止への道のりは容易ではないようだ。