「系列の株買い増し、といった荒療治も考えないと」
自動車の基幹部品は、メーカーと系列が共同で開発している、といってもおかしくない。だから、「トヨタが開発費を負担してライバルを太らせているようなものだ」(トヨタ)と不快感を隠さない。なかには、「現代には売るな、と圧力をかける必要があるかもしれない。系列の株を買い増し、言うことをきかせる、といった荒療治も考えないと」と漏らすトヨタ首脳もいる。
これだけ、現代自動車にこだわるのは、理由がある。これまでトヨタの最大のライバルといえば、米ゼネラル・モーターズ(GM)だった。しかし、GMは販売不振が長引き、倒産さえうわさされる状態だ。気になる存在だったベンツやホンダもかつての元気がない。「敵はもうGMではない、現代だ」という声が社内に上がっているからだ。
ただ、部品メーカーにも言い分はある。 例えば、ホンダは系列の部品メーカーは持たず、トヨタ系のメーカーを中心に調達している。デンソーにしろ、アイシン精機にしろ、ホンダや三菱に部品を供給し、その結果全体のコストが下がり、トヨタも結果的に安い部品を手に入れられる、という構造だった。トヨタも部品メーカーに、 トヨタ以外のメーカーへの販売を奨励していた節もある。「少なくとも、日産以外にはどんどん売れ、といった時代はある」(トヨタ系部品メーカー)のも確かだ。
トヨタと系列部品会社や協力会社の綱引きは当分続きそうだ。