「グーグルは傲慢だ!」「いや、規律違反サイトの削除は正しい」。そんな議論が日本企業の間で交わされている。ある日突然、自分の会社のサイトが、グーグルの検索に引っかからなくなってしまう。そんなことが、ネット広告代理店大手・サイバーエージェントのインターネットサイトでも起きたのがきっかけだ。
「Googleplex」と呼ばれるグーグル本社。成長にともなって、軋轢がないわけではない
 サイバー社がグーグルで自社サイトの検索ができないことに気付いたのは、2006年3月28日のことだった。何度アドレスを直接入力しても表示されない。数人のサービススタッフが「何か変だ」と騒ぎ出した。ネット上の何らかのトラブルかと考えたが、翌日になっても回復しなかった。
グループ企業とのリンク削除すると表示が回復した
 グーグルは意図的に検索エンジンの検索結果を上位に表示させる「スパム行為」に厳しい、といわれる。いわば、「不正行為」だ。サイバー社は「もしや」と思い、翌日グループ企業のサイト(約40)との相互リンクのコーナーを削除してみた。すると同31日の午前中に表示が回復した。
 リンクが多ければアクセス数が増える。このため、検索エンジン対策(SEO)として、相互リンクはよく使われている。サイバーエージェントの広報では「グーグルに対しアクセス不能になった理由を照会していますが、未だに回答は来ていない。当社としては不正行為をしているつもりは全くない」と説明する。JINBNでも日本のグーグル社に対し、この件で取材を申し込んだが、返事はもらえなかった。
 突然、自社のサイトが検索できない事態はこれまでもたびたび起きている。06年2月のドイツで、グーグル検索からリコーのドイツ語サイトとBMW社のサイトが突然削除された。リコーはこの事実をグーグル社ではなく、クーグルのエンジニアのブログで知った。書いてあった内容はスパム行為をしたための削除だった。リコーの日本広報も「エンジニアの指摘どおりサイトを修正した。欧米ではグーグルが圧倒的に強いため従わざるを得ないが、スパム行為などはありえない」と不満そうだ。