小沢一郎の「無節操」経済政策

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持論だった自己責任・競争原理は後退

   同時に米国の要請を取り入れた。日本市場の開放を求める米国は、規制緩和・市場開放を望んでいた。自民党族議員と官僚組織が言ったとなった既得権を崩す改革路線は、小沢新党が米国政府の後ろ盾を得るのに欠かせない政策だった。
   だが小沢が野党をさまよっている間に「改革路線」は小泉の専売特許となった。民主党党首として小泉路線に対抗するには、政策の違いを鮮明にする必要がある。そこで打ち出したのが「共生」。持論だった自己責任・競争原理は一歩後退した。企業の終身雇用制・年功序列を擁護し、弱者に配慮する政策へと軌道修正がなされた。
   小沢が民主党を率いている限り「規制緩和・市場開放」を声高に叫ぶことはないだろう。小沢と民主党が共通する部分は、行政組織の簡素化、地方分権、消費税増税による年金・社会保障に充実などだ。格差是正を政府主導で行えば、民営化路線と一線を画すことになる。生活保護や公教育の充実など「大きな政府」へと軸が移ることが予想される。

文: 山田厚史

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