阪神の膨大な資産うまく活用できるか
それほどの借金を抱えて2,000億円の投資は可能か、とHDに質問してみた。しかし、「検討に着手したばかりで、買収額がどれくらいになるかはわからない」と答えるのみだった。また同社は、07年の創立100周年に向けた大事業を抱えている。梅田阪急ビル建て替え事業、茶屋町開発、宝塚ファミリーランド跡地開発…と目白押しで、こちらもトータルで数千億の投資が必要とされているのだ。それらのカネは用意できるのか。
他にも、不安材料がないわけではない。阪神を傘下に収めた場合、本業の鉄道事業で大阪-神戸路線が競合する。
ただ、約7万m2ある甲子園球場の簿価はたったの800万円。阪神百貨店の7,000m2の簿価の900万円など、これを時価総額に換算すれば膨大な資産になる。HDとしてはこれらの不動産資産をうまく活用し、投資額を回収する腹積もりのようだが、TOBが成立したとしても、こうしたシナリオ通りいくかどうかは保証の限りではない。