「突然テレビCMの中止が決まって困っている。今後どうしていくか広告代理店と相談している」。
アイフルの「チワワおじさん」こと清水章吾(63)を抱える芸能事務所の
無名タレント小野真弓が一気にブレイク
「チワワおじさん」どうする?事件でタレント事務所側の意識も変わりそうだ
2006年4月14日、アイフルは貸金業規制法違反で近畿財務局から全店舗の業務停止命令を受けた。アイフルは同日から2ヶ月間、テレビCM、新聞広告、雑誌広告、街頭のティッシュ配布などの宣伝を全国で自粛している。「広告塔」であった俳優やタレントのイメージダウンは大きい。
そもそも、これまで消費者金融のCMについてはバブル期以前から
もともと人気タレントやスポーツ選手が消費者金融のCMに出ることはなかった。出演するだけでイメージダウンになる、と考えるのが常識だったからだ。かつて、レイクのCMに現在のジーコ日本代表監督が出演したことがあった。「外国人だから知らなかったのではないか」「カネに困っている?」という噂が流れた。
そんな「常識」を一変する出来事が起こる。それが02年。アコムの新CMに起用されたのが無名のグラビアタレント小野真弓(25)だった。CMでは社員役を演じ、「天使の笑顔」と評されて一気にブレイク。写真集やDVDはグラビア界の売り上げトップを独占する。消費者金融のCMから誕生したシンデレラガールになった。
タレントを売り出す登竜門になっていく
そして03年。アイフルのCMにチワワ犬のくぅーちゃんが登場し、その愛くるしさで大人気に。日本にチワワ犬ブームを起こした。同時に、共演した清水章吾も「売れない俳優」から司会もこなす人気者になり、埼玉県に建てた豪邸は「くぅーちゃん御殿」と揶揄された。
このあたりから芸能プロダクションやメディアの意識が変わってくる。CMに出ることがイメージダウンではなく、逆にタレントを売り出す過程での登竜門になっていく。近年では「1流半」の売り出し中の若手タレントが、そんな流れを受け、続々と登場するようになった。プロミスは井上和香、MARI。アイクは東原亜希。レイクは浅香友紀、棚橋幸代。アコムは熊田曜子、品川庄司。武富士は佐藤寛子、山中めぐみなどだ。
バラエティー番組などで見たことのあるタレントが登場して、視聴者は消費者金融のCMをそれほど違和感無く受け入れるようになった。それが危険をはらんでいるのは、先の被害者の会が指摘した通りだ。一方で、CMに出ているタレントのイメージダウンも避けられない。今回のアイフルの事件をきっかけに、タレント事務所側の意識も変わってきそうだ。