3大メガバンク 公的資金返済白熱

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   3大メガバンクの公的資金返済レースが白熱化している。ライバル行より少しでも早く完済にこぎつけ、自行が質的に健全であることを市場にアピールするのが狙いだ。

みずほフィナンシャルグループ本社
みずほフィナンシャルグループ本社

   みずほフィナンシャルグループ(FG)三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)が2006年度上期(4-9月)での完済を謳えば、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)も、当初07年度中としていた完済目標を1年前倒しする、といった具合だ。
   05年度末(06年3月期末)時点で公的資金への依存度が最も少ないメガバンク――。こんなキャッチフレーズで投資家を惹きつけようと目論んでいたみずほFGの思惑が崩れ去った。MUFGが、農林中央金庫日本生命保険など5社に実質肩代わりさせることで3月中に計3,165億円の公的資金を返済する、と表明したためだ。
   現在、メガバンクに注入されている公的資金は大半が優先株式。このため、その返済に関してはこんな手法がとられている。定款に規定した自己株取得枠の範囲内で、剰余金などを原資に買入れて消却するといった方法だ。

本来ならみずほ1歩リードのはずだった

   05年10月に3,236億円、同12月に2,559億円と計5,995億円分の公的資金優先株買入れ消却を実施したMUFGは、この時点ですでに05年度の自己株取得枠をほぼ使い切る形になっており、みずほFGは本来なら完済レースで、MUFGを1歩リードできるはずだった。ところがMUFGは、親密な生保などに肩代わり返済させるという「いわば禁じ手」(金融筋)まで使って“みずほ潰し”に打って出たのである。
   これにより、2月末まで8,205億円だったMUFGの公的資金残高は3月末時点で5,040億円となって、みずほFGの6,000億円を下回る。前倒し返済の強行で目減りする自己資本は3月中に実施する4,960億円の優先出資証券の発行でカバーする方針。MUGF首脳は「メガバンクで唯一、ニューヨーク株式市場に上場している金融機関として、何としてもみずほFGに遅れを取るわけにはいかなかった」と、その胸の内を明かす。

年度入り早々に最大の山場が来る

   とはいえ、こと資本の「質」という点では3月末時点でのみずほFG優位は動かない。優先株には、ある条件の下で株主が希望すれば普通株に転換できる転換型優先株、社債のように現金で償還される償還型優先株(社債型優先株)の2種類がある。みずほFGが残している優先株は、「転換型」のMUFGとは異なり、全額「社債型」だからだ。つまり中核的自己資本(Tierl)に占める公的資金への依存度はすでにゼロ。今回3,165億円を返済してもなお依存度8%を超えているMUFGを凌駕しているからだ。
   MUFGでは6月末の定時株主総会で06年度の自己株取得枠が承認され次第、ただちに優先株買入れ消却を実行して公的資金を完済、名実ともにみずほFGに先んじたい考えだが、みずほFGも財務部門総動員で対抗策に知恵を絞る。前倒しを宣言したSMFGの動きも絡んで、完済レースは06年度入り早々、最大にして最後の山場を迎えることになりそうだ。

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