株取引をしないという誓約書
日経では事件発覚後ただちに広告局担当常務の引責辞任などの処分を決めた。また、広告、編集、営業各局の社員には株取引の全面禁止を求め、とくに広告局社員には在籍中は株取引をしないという誓約書を出させることになった。
昨年、日経では子会社のTCW(ティー・シー・ワークス)を舞台にした手形乱発事件が摘発され事件当時の社長の責任を追及した記者が懲戒解雇(その後復社)された。また、日経が出資している広告会社である日本経済広告社の営業局長がインサイダー取引していたのが発覚して、06年2月に在宅起訴された。
このように他の全国紙に比べて日経は経済関係の不祥事が目立つ。いま、企業はコーポレート・ガバナンス(企業統治)が問われている。日経は経済専門紙として金融市場に最も近いところにいる。一般の企業とは別のマスメディアとしてのガバナンスが問われている。
日経はライブドア事件の報道では、社説や解説面で「公正で透明な証券取引の実現が求められる」と書いてきた。今回の社員によるインサイダー取引は読者への大きな裏切りでもある。