どうやって資金調達するのか
無論、東証側もシステム全面更新の必要性はある程度認識していたに違いない。しかし90年代初頭のバブル崩壊で、日本では株式取引が長期にわたり低迷。処理能力にゆとりのある状態が続いたことで緊急性が薄れ、これが結果的に「油断を生じ、後手を踏ませる形となった」と東証関係者は悔やむ。
とはいえ、仮に東証が早期に次期システム開発に取り掛かろうとしたにしても「資金面からいって困難だった」(事情通)のもまた、実情だ。東証の収益源は、参加証券会社から取引額に応じて徴収する負担金(=場口銭)で成り立っている。その負担金収入が相場低迷で思うようにあがらず、利益確保にさえ汲々とする状態が続いていたからだ。
「だから、その場しのぎの投資しかできなかった」と東証幹部は打ち明ける。向こう3年間で500億円という巨額のシステム投資。だが、肝心の資金調達手段は全く明らかにされていない。