ライブドア事件が発覚してから、アクセスが集中してつながりにくくなったサイトのひとつが「ホリエモンの錬金術」だ。
「きっこの日記」と並ぶ超人気サイトで、ライブドア上場前にいろいろカラクリがあることや、粉飾決算の疑いがきわめて濃厚なことなどが、これでもか、という感じで書き連ねられている。
筆者は公認会計士の山根治氏。堀江容疑者が近鉄バッファローズの買収に名乗りをあげたときに、ライブドアという会社に興味をいだき、調べ始めた。ところが、決算書をのぞいてみたところ、あまりのオソマツさにあきれてしまい、分析を途中でやめてしまった。再開したのは、ライブドアがフジ・サンケイグループの買収に名乗りを挙げた時だ。
業績は極めて悪く、いわば自転車操業
人気ウェブサイト「ホリエモンの錬金術」は、ライブドアの粉飾決算の疑いを早くから指摘した
「公表されている決算書ではもっともらしく利益が出たように繕ってはありますが、実際の業績は極めて悪く、いわば自転車操業に陥っているのではないか」
その後、粉飾にとどまらず、「上場後の決算書がいかがわしいシロモノであるだけでなく、上場前にトンデモないカラクリがある」ことに気付いていく。今後検察が追及していく中身がこれなのだ。 そして、堀江逮捕、株価急落という現状を予測したかのような記述が続く。
「(フジ)経営陣にとって、今回の基本合意は本当に彼らの保身になるのでしょうか。NO!です。保身どころか、逆に現経営陣はとてつもなく大きなリスクを背負い込んだことになりそうです。」
フジ経営陣に株主代表訴訟の恐れ
「しかるべき権限を持った機関による実地検査がなされた場合には、あるいは、インサイダー取引、ストックオプションとか株式の交換に絡む不正、株価操作の実態などが明らかになるかもしれないのです。フジテレビが被るおそれのある多額の損失金については、今の経営陣は株主代表訴訟の対象になることが考えられますし、その上に特別背任罪にも問われかねません。」(2005年04月19日)
今後フジテレビの経営陣が直面するであろう状況をこの段階で見抜いているのだ。
評論家、立花隆が月刊誌「文藝春秋」1974年11月号に掲載した「田中角栄研究~その金脈と人脈」は、公表された情報、数字を丹念に分析して「疑惑」をあぶりだしている。マスコミの一部からは「そんなことは昔から知られている。新しい情報はない」と無視された。この「ホリエモンの錬金術」にも似たところがある。もちろん、帳簿をチェックしたわけでなく、幹部のインタビューもしていない。有価証券報告書を分析しただけで、これほどのことが見えてしまうのである。