スペシャル 日本でのビジネスはなぜ難しいのか
(1)なぜ談合はなくならないのか

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年配の仕切り役が頃合いを見て「じゃA社さんで」

お役人の接待には、こんな酒場は使わない
お役人の接待には、こんな酒場は使わない

   談合の現場に立ち会ったことがある。地方の道路工事の受注割り当てを決める会合だった。土建会社の営業担当が旅館の一室に集まり、工事の発注一覧表が配られた。案件ごとに、受注したい業者が名乗りをあげる。数社が重なるとよその社が「A社さんでいいんじゃない」などと口を挟み、年配の仕切り役が頃合いを見て「じゃA社さんで」。
   議論や多数決などはない。場の空気を読みながら受注業者が決まって行く。
   「いきさつや実績は担当者の頭に入っています。どこが取るのが妥当か、業界で仕事をしていれば、だいたい見当はつく」
   手引きしてくれた人はそう説明した。各社が秩序に沿って行儀よく振る舞えば問題は起きないが、強引なことをする仲間内から浮き、やがて排除される、という。
   同じ顔ぶれで何年も続けているから互いの事情はよく分かる。他社から好感を持たれることが大事だし、ここぞというとき援護射撃してくれる盟友も必要だ。
   仕事のために業界仲間との付き合いが欠かせない。酒席に寄り合い、カラオケで歌い、一緒にゴルフをする。絵に描いたようなオヤジ仕事である。この種の営業に女性担当者はほとんどいない。

文: 山田厚史

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