自前の部品メーカーを抱えている点がホンダより脅威だ
現代は1980年代後半、北米に進出し、「ポニー」という小型車で一時ブームを起こした。しかし、さびの発生など品質面で問題があり、結局撤退した。この失敗を教訓に、「日本車を追い越す」という錦の御旗のもと、品質を最重要課題として取り組んできた。その結果、「現代は日本車のライバルになりつつある」というのがトヨタの結論だ。一番恐れているのは価格。例えば、最上級モデル「アゼラ」(Hyundai Azera)はV型6気筒・排気量3800ccの大型セダン。独メルセデス・ベンツSクラスや独BMW7シリーズより広い室内空間と充実した安全装備などを売り物にする一方、価格は3万ドル以下。トヨタ自動車「レクサス」やホンダ「アキュラ」といった高級車ブランドの最低価格帯は3万ドル前後で、この分野に食い込む可能性は十分ある。
トヨタは世界中の車を徹底的に分解して調べているが、これまで「敵」はベンツやホンダだった。現代はこのところ耐久性やエレクトロニクスを活用した先進性、デザインといった面で、急速に性能を上げつつある。しかも、性能の割に圧倒的に安い。
もうひとつ、トヨタが警戒しているのは、現代が自前の部品メーカーを抱えている点だ。例えば、ホンダは系列の部品メーカーは持たず、トヨタ系のメーカーを中心に調達している。トヨタ系の部品メーカーがホンダと組んでまったく新しい自動車を開発する、といった可能性は考えられない。逆の意味で現代は怖い、というわけだ。