GE Money サービスプラザ札幌
米ゼネラル・エレクトリック(GE)グループが日本での銀行参入に向けて、水面下での動きを活発化させている。金融界ではGEによる邦銀買収の観測がしきりだ。
GEはこれまで日本で、クレジットや消費者金融などノンバンクを主体に金融事業を展開してきた。日本における金融事業の規模は04年末に資産残高ベースで1兆円超。本拠地である北米を除けば、GEにとって日本は海外で最大の市場だ。
CEOが日本メディアに参入意欲を表明
こうしたなかGEが銀行参入をめざす背景には、1996年にはじまった包括的金融自由化、いわゆる「日本版ビッグバン」の進展によって、ビジネスチャンスが急速に広がったことがある。投資信託、保険に株式――いまや銀行の窓口で買えない金融商品はほとんどなく、今後、個人マネー取り込みを拡大していくには、ノンバンクの枠を飛び越えていくことが得策と判断した模様だ。グループ総帥であるジェフ・R・イメルト会長兼CEO自身、すでに複数の日本のメディアに対し、銀行参入への意欲を表明している。
日本の銀行界が注目しているのは、参入手法だ。GE側は当初、2006年をめどに、欧州で展開する傘下銀行の日本支店を開設する形で参入を果たす腹積もりを抱いていたようだ。しかし、金融当局から銀行免許を新規取得するには多大の時間と労力がかかるため、現在は「既存銀行の買収も視野に入れている」と金融筋は見ている。
新生銀行とあおぞら銀行が標的か
GEの家電製品は日本の家電量販店でも販売されている(05年10月6日、東京秋葉原・ラオックス本店にて)
最有力の買収ターゲットとして取り沙汰されているのは、新生銀行とあおぞら銀行。1998年に破綻した日本長期信用銀行と日本債券信用銀行がそれぞれ前身で、うち新生銀は04年に東京証券取引所への再上場を果たした。しかし、両行とも将来的な成長モデルを描き切れないでいる。GEという超優良企業への傘下入りは、金融システム安定化・強化に腐心する金融当局にとっても、歓迎すべき出来事だ。
銀行参入への強い意欲を示すかのように、このところGEが加速化させているのが、人材獲得戦略だ。9月初旬にはUFJ銀行から、金融当局とのパイプ役を担う「MOF(かつての大蔵省)担」と呼ばれるポストにあったエース級のバンカーをスカウト、邦銀勢に衝撃を与えた。