営業赤字に転落したソニーに明日はあるのか

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  ソニーの凋落に歯止めがかからない。近く大幅なリストラ、人員削減に踏み切る、という見方も有力だ。

ソニーは先行する各社への追い上げを図る (写真は「シャープ液晶テレビ LC-65GE1」)
ソニーは先行する各社への追い上げを図る (写真は「シャープ液晶テレビ LC-65GE1」)

  2005年度連結業績は第1四半期からいきなり 153億円の営業赤字に転落した。通期見通しも売上高が7兆2500億円と期初計画比20 00億円の減額、営業利益は300億円と同 1300億円の減額へ下方修正した。
とりわけ深刻なのは、テレビ事業をはじめとする主力のエレクトロニクス部門に好材料が見当たらないことだ。第1四半期の同部門は363億円の営業赤字を計上し、それが全体の足を引っ張った格好だ。

  05年度のソニーは収益事業の端境期に置かれているのも確かだ。04年度は「スパイダーマン2」のヒットによって、映画部門が639億円もの営業利益を上げた。一方、期待の次世代ゲーム機「プレイステーション(PS)3」の市場投入は06年春になる見通しで、ゲーム部門の業績寄与は06年度まで待たなければならない。その狭間で05年度は一向に改善しないエレクトロニクス部門の不振が際立っている。下手をすると、同部門は3期連続の赤字の可能性も否めない。

薄型テレビ 先行するシャープ、松下に追いつけない

  デジタルカメラ、DVDレコーダー、薄型テレビの、いわゆる“新3種の神器”は軒並みシェアが低下した。とりわけ、テレビ事業は第1 四半期に前年同期比20・5%もの減収となった。ブラウン管テレビの不振はもちろんだが、薄型テレビでは、液晶テレビへの集中を表明した。その結果、プラズマテレビの売り上げが激減。液晶テレビも価格下落の波に翻弄された。
  ソニーはテレビ事業のテコ入れ策として、韓国・三星電子との液晶パネル合弁工場が本格稼動すること、また日米欧での部品の共通設計や、高性能デバイス「SXRD」を搭載したリプロジェクションテレビの投入を挙げている。しかし、先行するシャープ松下電器産業を追撃するには、いずれも決め手に欠ける。
「いや、これだけ業績が悪化すれば、それだけでリストラの口実になる」

新経営計画の柱は人員削減だ

  複数のソニー関係者は口を揃える。実際、 9月にハワード・ストリンガー会長が打ち出す新たな経営計画には、大幅な人員削減が盛り込まれる見通しだ。全世界で1割リストラすれば、1万5000人の固定費を圧縮できるのだ。

家電・エレクトロニクス製品の安売り合戦が繰り広げられる東京秋葉原の電気街
家電・エレクトロニクス製品の安売り合戦が繰り広げられる東京秋葉原の電気街

   さらに、新経営計画は社長レースの行方にも微妙な影を落としそうだ。ソニーは05年6月、ストリンガー会長、中鉢良治社長、井原勝美副社長の3氏によるトロイカ体制へ移行した。しかし、外国人のストリンガー会長は「しょせんリストラ推進の“憎まれ役”として登板したリリーフエース」とみる向きが少なくない。注目されるのは、新体制移行前の4月、井原副社長がテレビ事業を統括するホームエレクトロニクスネットワークカンパニーの責任者に就いたこと。リストラをバネにエレクトロ二クス部門を再生させれば、次期社長の芽は大きくなる。
  その一方で、ストリンガー会長はゲーム部門を立ち上げた久多良木健・前副社長と親しい。久多良木氏は現在、子会社のソニー・コンピュータエンタテインメント社長に留まっているが、来春、「PS3」がヒットすれば、再びソニー本体の経営中枢に返り咲く可能性は高い。
  しかし、誰がトップにつくにしても、本業のエレクトロニクス部門が復活しない限り、ソニーの未来はない。

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