将来を展望するための3つのポイント
ポイント1
自由化はどこまで可能か
米国では同時多発テロの後も運賃低下が急激に進んでいる。04年9月にはUSエアウェイズが破産法の適用を申請した。ユナイテッド航空、デルタ航空など大手は軒並みピンチに陥っている。旧来型大手は、格安航空会社が仕掛ける値下げ競争に対抗できなくなっているのだ。これは行き過ぎで、過当競争だ、という見方も日本では強い。一方で、米国は二国間で路線、便数などを完全自由化する「オープンスカイ政策」を掲げ、日本にも市場開放を迫っている。ただ、米国とは条件が違う。国土が狭く、大型空港の数が少なく、基礎的インフラが不足しているため、離発着枠も自由競争というわけにはいかない。米国と違った日本独自の競争、自由化のありかたが問われている。
ポイント2
どこまでできるか経費削減
日本航空が導入した最新鋭旅客機、B777機の離陸光景。B777機は航続距離が14,390kmと長く、2003年8月から欧州線にも就航している。
日本航空と日本エアシステムが経営統合した理由のひとつには、統合によって経費の削減を徹底しよう、という狙いがあげられる。すでに、地上職員を中心に人員削減が進んでいる。米国ではパイロットや機内乗務員の大幅な賃金カットや、労働時間の延長のほか、機内サービスをほとんど廃止したところまで現れている。国内各社が「聖域なき経費削減」ができるのかが、生き残りの条件になりそうだ。
ポイント3
羽田空港拡充はなにをもたらすのか
04年12月に羽田空港に新しいターミナルビルが完成した。09年には4本目の滑走路ができ、国内専用から国際空港としての性格が強まる。年間発着回数は40パーセント以上増え、3万回の国際線枠が新設される予定だ。羽田の充実は成田、関西、中部(05年2月開港)といった主要空港には打撃だ。アジア路線を中心に成田から羽田に発着場所を移す会社が出てくるのは必至だと見られている。利用者の低迷に苦しむ関西にとっても脅威だ。国内、国際線とも、羽田をどう使うかが、航空各社の戦略に大きな影響を与えそうだ。