ジャパン・バッシングが再燃する恐れ
日本の自動車市場はもともと燃費の良い小型車が中心。また国土が狭いこともあって、自動車1台あたりのガソリン使用量はアメリカの半分にも満たない。日本でもガソリン価格が20%程度上がっているが、消費量はほとんど落ちていない。もともと省エネ型社会なのだ。逆にエネルギー消費の大きいアメリカでは原油高の打撃が大きく、日本以上にハイブリッドカーが注目されていると言える。
トヨタは今夏からプリウスの生産ラインを増設し、生産量を6割増の年間13万台に引き上げた。その半分以上をアメリカ市場に振り向ける計画だ。アメリカのビッグスリーは認めていないが、日本の自動車メーカーの技術力はすでにアメリカを圧倒しているというのが自動車業界の常識だ。ハイブリッドカーの開発で、トヨタとホンダが世界の最先端を行っているのがその好例である。とはいえ、いくら人気があるからといってアメリカ向け輸出を増やしすぎるとジャパン・バッシングが再燃する恐れがある。トヨタはプリウスを今後、どこまで米国向けに増産するか、様子をうかがっているのである。