夏目三久が珍しく切口上で話し始めた。「台風の被災地視察で長靴を忘れ、おんぶされたことが批判された務台内閣府政務官が、その長靴の失言で昨日(2017年3月9日)ついに辞表を提出しました」という。え、なにがあった? これがなんともお粗末な話。
務台俊介・内閣府政務官といえば昨年(2016年)9月、長靴で有名になった人だ。政府調査団の団長として、台風で水害に遭った岩手・岩泉町を視察した際、長靴を持参せず。道路が水で洗われていたところを、職員におぶわれて渡ったのをテレビに撮られてしまった。当人は「こんなところ写されちゃ困るな」といっていたのだが、案の定、帰京した途端に、不用意さが批判された。
公明党の山口代表までが、「被災地へ行くからには、防災服や長靴を準備するのは当然の事」と発言。安倍首相も国会で、「被災地、被災者の心情への配慮に欠けた不適切なもの」と答えざるをえず、務台氏本人も、「被災地の皆様の気持ちを逆なですることだと、深く反省しております」と答えていた。
ところが、おととい(2017年3月8日)開いた自らのパーティーでの挨拶で、「長靴事件があったものですから、その後、政府の各省で長靴がえらい整備されたと聞いています。多分、長靴業界もだいぶ儲かったのではないか」とやったのだった。
政府与党幹部も強く批判
これには、政府与党の幹部からも強い批判が出た。菅義偉官房長官は、「真に反省しているのか、疑われかねない発言であります。厳しく厳重注意を行った」。公明党の漆原良夫氏も、「国民におわびしなきゃならないことで、笑いのネタにするというのが許せない」とまで言った。これで決まった。
辞表の提出前、務台氏は、「被災者の気持ちをないがしろにするようなつもりで申し上げたのではなくて、自虐的に言ってしまった。深く反省しております」「個人のパーティーなので、甘さがあったことは否めない」と話した。
政府は今日(2017年3月10日)の閣議で、正式に辞任を決定するという。
政治は言葉だというが、この程度の失言で、被災者が傷つくとも思えない。どうも言葉の使い方、力の入れどころが違うのではないか。政治そのものが劣化しているのでは?