<ぶらり途中下車の旅(日本テレビ系)>埼玉県の大宮と千葉県の船橋を結ぶ東武野田線は「東武アーバンパークライン」なんていう愛称がつけられていますが、首都圏にありながらどこかローカル線の雰囲気があります。なにしろ、まだ一部に単線区間があるのです。それだけに沿線の街にはのどかな風情が残っています。
落語家の林家たい平さんが途中下車したのは野田市駅です。町一帯にお醤油のにおいが漂っています。そうなのです。野田は江戸時代からお醤油つくりが盛んで、近くを流れる利根川や江戸川を下って大消費地の江戸に運ばれたのでした。
たい平さんがぶらぶら歩いていると、石造りの豪奢な古そうな建物があちこちにあります。「立派なビルです。なんなのでしょうか。千秋社とあります。近代化産業遺産に指定されているようです」
ここで創業された野田醤油株式会社を資金面から支えた野田商誘銀行の建物でした。野田醤油はキッコーマンの前身で、キッコーマンの本社はいまも野田あります。本社の隣にある興風会館は、創業者たちが地域のコミュニケーション場として建てたものだそうで、「窓などの飾りといい、装飾の豪華さといい、やっぱり歴史のある町は違います」とたい平さんは感心しきりです。
キッコーマンの敷地内には、宮内庁に納めるお醤油も作っている御用醤油醸造所(通称「御用蔵」)が移築されて公開されているし、「もの知しょうゆ館」ではお醤油ができるまでを見学することができます。野田市郷土博物館でもお醤油の歴史を知ることができます。身近な調味料が、実はこんなに深い歴史があったなんて感動ものですよ。
醤油ロールケーキもいかが
お醤油の街ですから、お醤油を使ったユニークな食べ物もありました。たい平さんが覗いたのは「醤油の里 酒のおおみや」というお店でした。酒屋さんですが、さまざまな『醤油もの』が売られていました。しょうゆ饅頭、醤油スイーツ「ロールケーキ」、しょうゆあめ、醤油おこわ・・・もう、何でも醤油味です。
店主の町田好昭さんが「いま試作中なんですがね」と持ってきたのは「しょうゆコーラ」です。突拍子もない組み合わせにたい平さんもたじたじで、「う~ん、色は同じだけどねえ」なんていいながら、恐る恐るひと口含んでみると・・・。「あれえ、最初にゴクンと飲んだときはコーラですよね。でも、ベフッと炭酸が上がってくると、香りは完全に醤油です。みたらし団子の甘辛たれの感じ。不思議な飲み物です。売り出してもいいんじゃないですか」
しょうゆコーラは3月から発売予定だそうです。
これからの季節、アーバンパークラインの車窓からは満開の桜があちこちに見られます。春の1日を全長62・7キロ、35駅、2時間弱ののんびり電車旅なんていうのもいいかもしれません。(2017年2月11日放送)
涼