<一路>(NHK総合)
 サムライの所作美しい永山絢斗!広重の浮世絵の風光、華麗な大名行列・・・時代劇ってやっぱりいいなあ

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   すでに「BS時代劇」で放送されたもの(2015年7~9月)の再放送である。民放から連ドラ時代劇が消えて久しく、時代劇は息も絶え絶え、絶滅危惧種状態だが、こうやって久しぶりに見ると新鮮でいいなあ。

   最も「今風」だと思われる若手実力派俳優の一人、永山絢斗が主役を演じている。時代劇初出演だというが、なかなか良いサムライぶりである。背筋がピシッと伸びた座姿、陣笠に羽織の旅姿で走る時、手を振らず上体を動かさない日本古来のいわゆるナンバ走り、いずれも美しい。修業の跡がうかがわれる。

   テーマは参勤交代である。映画「超高速!参勤交代」(2014年)も見たし、私は参勤交代がなぜか好きなのだ。観光用の大名行列を見る機会があると、奴さんの毛槍投げを口開けて見てしまう。

   なお、映画は好評だったので「超高速!参勤交代リターンズ」が制作されているらしい(9月公開予定)。なんでも「行きは参勤、帰りは交代」ということで、行ったからには帰りもあるのだそうだ。そう言われればそうだね。今度は帰りの難儀ぶりを見に行こうっと。

急きょ命じられた参勤交代仕切り役・・・頼りは役に立たない先祖伝来の古い書

   さて本題だが、主人公・小野寺一路(永山絢斗)の家は代々、西美濃(現在の岐阜県大垣市辺り)田名部郡を領地とする旗本・蒔坂家の家臣である。参勤交代を取り仕切る「道中御伴頭」を務めている。一路は江戸生まれで、19歳になる今まで一度も西美濃に帰ったことはない。それが国元の屋敷が火事を出し、父親が焼死したとの知らせで急きょ帰ることになる。

   失火は大失態、本来ならお家断絶も免れないところ、参勤交代が目前に迫っているのでしかたなく一路に相続させ、御伴頭を務めさせることになる。父から何も教わる暇もなく、国元に知った人もない一路が唯一頼りにしたのは、焼け跡から見つけた先祖伝来の書「行軍録」だった。古式にのっとった行列の作法が書かれている。

   ほかに拠りどころのない一路としては「参勤交代は行軍なり」と記された書物どおりに参勤交代を執り行おうとする。しかし、時はすでに幕末の文久元(1861)年、各藩とも行列の作法は形骸化している。当然だ。幕府の権威も揺らいでいる上に、何せ各藩とも金がない。しかも蒔坂家は大名(1万石以上)にもなれないたかが7500石の旗本にすぎない。ここは、大金をかけて「正しい参勤交代」をやり遂げようとする一路の石頭に辟易(へきえき)する方に同情する。

文   カモノ・ハシ
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