ハム・ソーセージ本当に危ないの?「健康損失ランキング」トップは・・・ああ、やっぱりそれか!

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   先月(2015年10月)26日、WHO(世界保健機構)の研究機関である国際がん研究機関は「ハムやソーセージなどの加工肉や赤肉の過剰摂取は大腸がんの原因となる」という報告を発表した。日本ではハムやソーセージの買い控えが起きて、価格下落が起こっている。

   今年6月には米FDA(食品医薬品局)が「マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸が心臓疾患のリスクを高めている」と発表9月にはスウェーデンの食品庁が「コメにはヒ素が含まれているので危険」と警告した。

脂肪酸より危険な「暴飲暴食」「食中毒」

   ネット上にはこうした情報が溢れていて、「絶対食べてはいけない」「食べ続けたら死の危険が10倍」「がんを誘発する」などと消費者の不安をあおる。トランス脂肪酸を気にして「マーガリンをバターに替える」という人も出てきているが、食の安全について取材を続けている科学ジャーナリストの松永和紀さんはこうした傾向に警鐘を鳴らす。

「バターには飽和脂肪酸が含まれていますが、これもたくさん摂りすぎると心臓疾患のリスクは高まるんです。日本人のトランス脂肪酸の摂取量は米国の2・6%に対して0・3%にしかすぎません。しかし、飽和脂肪酸はちょっと摂りすぎの方が多いんです。トランス脂肪酸だけに気を取られてしまうと、トレードオフ、つまり、飽和脂肪酸のリクスが上がってしまうという現象が起きてしまいます」

   正しい情報を見極めようという消費者の動きも出てきている。千葉県松戸市の市民で作る「食の安心安全を考える市民の会」には、「ベーコンを買うべきか、買うまいか迷った」「食品添加物が気になるが、お菓子にしてもおかずにも入っている」という声が寄せられている。千葉大学助教の石田貴士さんはこうアドバイスしている。

「みなさん、農薬だとか放射性物質だとか添加物を気にしていますが、本当は食中毒とかもっとほかのリクスがあるんです。こっちを無視しといて加工肉の問題ばかりを気にするのはどうかと思います」

   石田さんは「暴飲暴食」「微生物(食中毒の原因)」の方がよりリスクは大きいと言う。

日本人がやばい「塩分」世界でも最悪の取りすぎ

   国谷裕子キャスターが「健康の損失ランキング」をフリップで見せた。人間の食生活や食べ物そのものについて、危険な順番に並べたものだ。健康を損なうものの1位は「全体として不健康な食事(喫煙+運動不足+アルコール過剰摂取)」で、2位は「食事要因(運動不足)」、3位は「トランス脂肪酸の取り過ぎ。魚や野菜の不足。アルコール」、4位は「飽和脂肪酸の取り過ぎ。大気中微粒子。インフルエンザ」、5位は「微生物による食中毒」となっている。

   国谷「トランス脂肪酸だったり、飽和脂肪酸だったり、きょう取り上げたものは、意外にも3番目だったり、4番目だったりして、より危険度の高いものは『不健康な食事』となってるんですね」

   松永氏「これはオランダの研究機関が発表したものですが、やはり『不健康な食事』とうのがリスクとしては一番大きいと思います。農薬・添加物はもう入っていません。とくに日本人の場合は、脂肪酸より圧倒的に塩分の取り過ぎの方が問題なんです。世界的に見てもトップレベルの取り過ぎですので、これが私はまず一番に気を付けるべきことと思います」

   国谷「それにしても海外からはいろんな情報が入ってきますが、私たちは何を信じればいいんでしょう」

   松永氏「単純な情報はまず疑ってかかるということですね。これはいいとかあれは悪いといった単純な二分法ではくくれないということを理解していただきたい。その上で、厚生労働省、農林水産省が情報を出しているので、ますはそういう情報をキチンと捉えることが大切だと思います」

ビレッジマン

NHKクローズアップ現代(2015年11月30日放送「本当にキケン?あふれる食品情報」)

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