パリ同時多発テロの犯人解明が、フランス、ベルギー、ギリシャなどの連携で急速に進んでいる。首謀者、実行犯もほぼ特定され、逃走中の1人の指名手配のほか、フランスだけでも168か所を捜索して23人を拘束した。
フランスのオランド大統領はきのう16日(2015年11月)、ベルサイユ宮殿に上下両院議員を集めて演説し、「テロはシリアで計画され、ベルギーで組織され、フランスで実行された」と断定した。カズヌーブ内相も「ベルギーの集団による犯行で、フランス国内の共犯者の存在も明らかになった」と述べた。
フランス首相「数日から数週間の間に新たなテロ」
死んだ実行犯7人のうち5人が特定された。手配されているサラ・アブデスラム容疑者(26)はベルギー在住のフランス国籍で、兄も実行犯のひとりで死亡した。ベルギーで拘束されていた弟は容疑が薄いとして16日に釈放された。
このベルギー人脈から現在はシリアにいるベルギー人、アブデルハミド・アバウド容疑者(27)が浮かび、首謀者とされた。かつてベルギーで計画したテロに失敗してシリアに渡ったといわれる。
こうした素早い状況把握は、各国当局がテロリスト情報を共有しているからだ。実行犯の1人について、難民としてヨーロッパに入ったという情報がギリシャ政府から寄せられていた。
フランス空軍は15日夜、ISの拠点のシリア・ラッカを猛爆した。オランド大統領のいう「仕掛けられた戦争」を受けて立つかまえだ。これに対し、ISは16日にネットに新たな動画を載せ、「不信心者を攻撃せよ」「米国のワシントンを攻撃する」などいう。バルス首相も「数日から数週間の間に新たなテロの可能性がある」と警戒を呼び掛けた。