中国人観光客は天然記念物に指定されているシカを見ようと奈良公園にも押しかけているが、ここでもひと騒動あって公園関係者が困惑している。シカに手を噛まれ、「注射を打つから病院に連れていけ」「補償してくれるのか」とねじ込んでくるのだ。奈良公園シカ相談室の吉村明眞室長は「中国人観光客が気にするのは狂犬病です。日本では50年来発症していないが、中国では年間2000人以上の死者が出ているといいますから」
奈良公園のシカは人に馴れていておとなしいが、野生の動物に変わりはない。イタズラしたりいじめたりすれば噛みもするのだろう。
死亡したシカの胃から大量のビニール
とにかく、神様の使いであるシカに対して、中国人観光客は傍若無人だ。馬乗りになって写真撮影したり、角をつかんで折ってしまったこともある。これにはコメンテーターの吉永みち子(作家)も「馬に鹿、文字通りバカだね」
奈良公園のシカは礼儀をわきまえていて、「ちょうだい」と頭を下げるのだが、これが面白くてじらしてシカを怒らせるという。ポップコーンの残りなどビニール袋ごと与えたりもする。鹿愛護会の吉岡豊獣医は、死亡したシカの胃の中を調べたら大量のビニールが詰まっていたという。
ガイドがしっかり注意しろ!
奈良公園を訪れる中国人観光客は昨年(2014年)は66万3000人で、3年前の3倍に達している。中国人ガイドによると、「ほとんどが京都から奈良に立ち寄る」という。目当てはやはりシカ。「刺激的で面白いわ」と大人気だそうだ。
なぜシカに人気があるのか。中国人にとってシカは金運アップの象徴で縁起がいいという。『鹿』の発音の「ルー」が、給料を意味する『禄』の発音とまったく同じなのだ。
吉永「知らない人もいるだろうから、中国人ガイドさんが教えてあげてほしいですね」
小松靖アナ「富士山麓の忍野八海の湧水池コイン投げと同様、ガイドは一つの突破口かもしれなせんね」